腰痛の原因と治療 – 早めの対策で快適な生活を
腰痛は多くの方が経験しますが、原因は人それぞれ。
「そのうち治る」と放置すると、慢性化することもあります。ここでは主な原因と治療のポイントをまとめました。
腰痛の主な原因(5タイプ)

1. 骨の異常
- 脊椎の変形(側弯症/腰椎変性すべり症)
- 圧迫骨折(骨粗鬆症で起こりやすい)
→ 骨の脆弱化で腰へ負担が増加。高齢の方は圧迫骨折に注意。
2. 筋肉の異常
- 筋損傷・炎症(いわゆる「ぎっくり腰」)
- 同一姿勢による筋疲労(デスクワーク/立ち仕事)
→ ストレッチ・姿勢改善・適度な活動が予防のカギ。
3. 神経の異常
- 神経の圧迫・炎症
→ 腰痛が足へ広がる/しびれ・筋力低下を伴うことも。早めの評価が大切。
4. 関節の異常
- 仙腸関節障害
- 椎間関節炎
→ 「朝つらい」「立ち上がりで痛む」場合は関節由来の可能性。
5. 椎間板の異常
- 椎間板変性(加齢に伴うクッション性低下)
- 椎間板ヘルニア(飛び出して神経を圧迫)
→ 「長時間座るとつらい」「反ると痛い」なら要注意。
治療の考え方(基本方針)
原因組織を見極め、段階的にアプローチします。
痛みの軽減だけでなく、再発予防までが治療です。
- 炎症を抑える:薬物療法/物理療法
- 神経・筋の滑走性を改善:徒手療法/ストレッチ/神経モビライゼーション
- 負担を減らす:姿勢指導/体幹トレーニング/生活動作の工夫
- 画像や症状で必要な場合は注射や手術も検討
画像に写らない腰痛も多い
レントゲンやMRIで原因が特定できない非特異的腰痛が多数を占めます(Deyoらの研究では約85%)。
ただし「レッドフラッグ」は要注意
- 骨粗鬆症+軽微な外傷後の強い痛み(圧迫骨折)
- 進行するしびれ/筋力低下、排尿障害
- 発熱・安静時痛(感染の可能性)
- がん既往や原因不明の体重減少(骨転移の可能性)
当院の特徴(安心の診療体制)
- 整形外科専門医/整形外科学会認定脊椎脊髄病医が診察
- MRI完備で正確な評価
- エコーガイド下注射で痛みの部位に的確に対応
- 理学療法士による運動器リハビリ(マンツーマン)
代表的な疾患と症状(詳しくは各ページへ)
変形性腰椎症
- 朝のこわばり/立ち座りで鈍痛。進行で歩行困難も。
(→ 「変形性腰椎症」詳細)
腰椎椎間板ヘルニア
- 前かがみ・長時間座位で悪化/足のしびれ。
- 水分を多く含む髄核ヘルニアは自然吸収するタイプもあります。
(→ 「椎間板ヘルニア」詳細)
腰部脊柱管狭窄症
- 歩くと悪化、休むと回復(間欠性跛行)。
ぎっくり腰(急性腰痛症)
- 急な激痛。多くは数日~1週間で軽快。再発予防が重要。
筋・筋膜性腰痛
- 姿勢不良/同一姿勢で鈍痛。温めで軽快。
腰椎圧迫骨折
- 高齢者に多い。寝起き・立ち上がりで強い痛み。
化膿性脊椎炎
- 発熱・全身倦怠感+安静時痛。早期対応が必要。
病的骨折
- がん骨転移などが背景。安静時にも強い痛み。
腰椎分離症(成長期の疲労骨折)
- 10代スポーツで腰痛。初期は無症状も。
腰椎すべり症
- 分離・加齢で椎体が前方へ。しびれを伴うことも。
坐骨神経痛
- 腰~下肢へ放散痛・しびれ。原因疾患の治療が必要。
受診の目安(セルフチェック)
- 2週間以上、痛みが改善しない
- しびれや脱力が出てきた/範囲が広がる
- 夜間安静時にも強い痛みが続く
- 発熱・体重減少を伴う
- 高齢・骨粗鬆症で軽い転倒後に強い痛み
一つでも当てはまれば、早めの受診をおすすめします。
よくある質問
Q. 画像が正常でも痛いのはなぜ?
A. 非特異的腰痛が多く、筋・筋膜、関節、軽度の椎間板障害など機能的な問題が原因のことがあります。理学療法や運動療法が有効です。
Q. すぐに手術が必要ですか?
A. 多くは保存療法で改善します。重度の神経障害や強い不安定性がある場合のみ、手術を検討します。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

