紫外線療法(エキシマ光線療法)
紫外線療法とは?
紫外線療法は、光線療法の一つであり、紫外線の特性を活かして皮膚疾患を治療する方法です。近年、医療機器の進化により、小型化・高精度化が進み、多くの医療機関で導入されています。
紫外線には「免疫の働きを調整する作用」や「皮膚のターンオーバーを促進する作用」があり、これを活用することで、尋常性乾癬・白斑・掌蹠膿疱症・アトピー性皮膚炎・円形脱毛症などの治療が可能です。
この治療法は、一回の照射時間が短く、痛みがほとんどないのが特徴で、安全性が高いため、幅広い年齢層の患者さまに安心して受けていただけます。
※本治療は健康保険適応となります。
当院の紫外線療法について
当院では、『エキシプレックス308』という高精度の中波紫外線治療器を導入しています。『エキシプレックス308』は、ターゲット型ナローバンドUVBとも呼ばれ、従来の紫外線療法(PUVA療法・ナローバンドUVB療法)に比べて、短期間での効果が期待できます。
エキシプレックス308の特徴
ピンポイント照射
患部のみに高精度で紫外線を照射し、健康な皮膚への影響を最小限に抑えます。
痛みなし・短時間治療
治療時間は数秒~数十秒程度で、負担が少なく、快適に受けられます。
少ない回数で効果実感
従来の紫外線療法よりも少ない回数で改善し、効果の持続も長いとされています。
難治性疾患にも対応
従来の治療で改善しにくかった症例にも有効性が確認されています。
紫外線療法が有効な疾患
紫外線療法は、以下のような皮膚疾患に効果が期待できます。
- 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
- 尋常性白斑(はくはん)
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- アトピー性皮膚炎
- 円形脱毛症
- 類乾癬・菌状息肉症・悪性リンパ腫・慢性苔癬状などの皮膚疾患
治療の流れ
1.診察・適応判断 | 皮膚の状態を診察し、紫外線療法が適しているかを確認します。 |
2.照射 | 患部へ『エキシプレックス308』の光を数秒〜数十秒照射します。 |
副作用について
『エキシプレックス308』は、リスクのある波長を最小限に抑えているため、副作用は少ないですが、高出力照射のため、一時的に以下のような症状が見られることがあります。
- 照射部位の赤み(紅斑)
- 水疱形成(日焼けのような症状)
- 色素沈着(軽度の日焼け跡のようなもの)
通常、これらの副作用は一時的なものであり、適切なケアを行うことで回復します。
通院頻度と治療スケジュール
紫外線療法は定期的な照射が必要です。
- 週1回もしくは2週に1回のペースで通院をおすすめします。
- 皮膚の状態を見ながら、照射回数や強さを調整していきます。
紫外線療法をご希望の方へ
当院では、紫外線療法に関する無料相談を受け付けています。
「長年治らない皮膚疾患に悩んでいる」
「ステロイド以外の治療法を探している」
「従来の紫外線治療であまり効果がなかった」
このようなお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
紫外線療法で、健康な肌を取り戻しましょう!
生物学的製剤によるアトピー性皮膚炎治療
生物学的製剤とは?
生物学的製剤は、免疫システムの特定の働きを調整し、炎症やアレルギー反応を抑える新しいタイプの治療薬です。特にアトピー性皮膚炎に対する治療効果が期待されており、従来の治療で改善が見られなかった方にも有効とされています。難治性の慢性蕁麻疹にはゾレアを使用しています。
当院では、以下の生物学的製剤を用いた治療を行っています。
アトピー性皮膚炎の治療に使用する生物学的製剤
- デュピクセント(デュピルマブ)
- アドトラーザ(トラロキヌマブ)
- ミチーガ(ネモリズマブ)
- イブグリース(レブリキズマブ)
蕁麻疹の治療に使用する生物学的製剤
- ゾレア(オマリズマブ)
各生物学的製剤の特徴
デュピクセント(デュピルマブ)
作用機序 | IL-4およびIL-13というサイトカインのシグナル伝達を阻害し、炎症を抑えます |
投与間隔 | 初回600mg皮下注射後、1回300mgを2週間ごとに皮下注射 |
適応 | 中等症~重症のアトピー性皮膚炎気管支喘息鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎 |
副作用 | 注射部位反応、結膜炎、口唇ヘルペス、好酸球増加など |
費用 | デュピクセント皮下注300mgペンの薬価 53,659円(保険適用あり) |
アドトラーザ(トラロキヌマブ)
作用機序 | IL-13というサイトカインの働きを阻害し、アトピー性皮膚炎の症状を抑制 |
投与間隔 | 初回600mg皮下注射後、1回300mgを2週間ごとに皮下注射 |
適応 | 15歳以上の中等症~重症のアトピー性皮膚炎 |
副作用 | 注射部位反応、結膜炎、頭痛など |
費用 | アドトラーザ皮下注150mgシリンジ 24,182円、300mgペン 41,859円(保険適用あり) |
ミチーガ(ネモリズマブ)
作用機序 | IL-31受容体Aに結合し、IL-31のシグナル伝達を阻害することでかゆみを抑える |
投与間隔 | 1回60mgを4週間ごとに皮下注射 |
適応 | 6歳以上の中等症~重症のアトピー性皮膚炎 |
副作用 | 注射部位反応、関節痛、頭痛など |
費用 | ミチーガ皮下注60mgシリンジ 116,426円 |
イブグリース(レブリキズマブ)
作用機序 | IL-13のシグナル伝達を選択的に阻害し、炎症を抑制 |
投与間隔 | 初回600mg皮下注射後、1回250mgを2週間ごとに皮下注射 |
適応 | 中等症~重症のアトピー性皮膚炎 |
副作用 | 注射部位反応、結膜炎、頭痛など |
ゾレア(オマリズマブ)
作用機序 | IgEと結合し、アレルギー反応を抑制 |
投与間隔 | 気管支喘息・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎2週間または4週間ごとに皮下注射慢性特発性蕁麻疹4週間ごとに300mgを皮下注射 |
適応 | アレルギー性気管支喘息慢性特発性蕁麻疹(抗ヒスタミン薬で改善しない場合)鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(通常治療で効果不十分な場合) |
副作用 | 注射部位反応、頭痛、アナフィラキシー(稀)、血小板減少など |
費用 | ゾレア150mg 約50,000円(投与量により変動) |
アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は皮膚の内部で「炎症」が起こっていて、皮膚が本来もっている「バリア機能」を低下させ、「かゆみ」を引き起こします。我慢できないほどのかゆみのせいで、皮膚をかきこわしてしまい、さらなるバリア機能の低下と炎症を引きおこす悪循環に陥ります。これらは「IL-4」と「IL-13」をはじめとするサイトカインという物質が原因となっています。
デュピクセントとは?
デュピクセントは「IL-4」と「IL-13」という物質のはたらきを直接かつピンポイントにおさえることで、「炎症」「かゆみ」「バリア機能低下」のすべてに対する効果が期待できる画期的な薬剤です。今までの治療で十分な効果が得られなかった中等症以上のアトピー性皮膚炎の患者さんに対して、高い改善効果と安全性を示しており、2018年に発売して以降、多くの患者さんが導入されています。
当クリニックでは、デュピクセントの治療を通して医師、スタッフ一同患者さんの生活の質向上をサポートしています。
デュピクセントの効果について
皮疹に対する効果のイメージとしては16週後(約4ヶ月後)に左上の患者さんの10人中7人が左下、10人中4人が右下まで改善します。かゆみも早期に改善してきます。
デュピクセントの副作用について
デュピクセントは副作用が少なく安全にお使いいただける薬剤です。
アトピー性皮膚炎治療の副作用として注射部位反応、結膜炎が1割程度の患者様に発現します。結膜炎に関しては点眼薬の処方や必要に応じて眼科の受診をお願いしております。
治療の流れ
15歳以上の患者様
投与開始日1回目のみ、2本を皮下注射します。
その後2回目からは2週間に1回、1本を皮下注射します。
デュピクセントによる治療は通院による治療も可能ですが基本的は3回目以降から自己注射(ご自宅での投与)での投与になります。ご自宅でも安全に投与できるよう看護師が丁寧に教えますのでご安心ください。
当院では自己注射の方には1回につき最長3か月分(6本)の処方が可能です。
自己注射による治療を行うことで医療費助成制度を利用する事ができて自己負担額を抑えられます。
15歳未満の患者様
デュピクセントは2023年9月より「生後6ヶ月以上」の患者さんから投与が可能になりました。成人の患者さんと用法・容量などが異なりますので詳しくは医師・看護師にお尋ね下さい。
治療可能な患者さんについて
デュピクセントが導入できる患者さんは決められた基準を満たす必要があります。
「6ヶ月間外用剤を使用していても改善が見られない中等症以上の方」になります。
詳しくは医師にお尋ねください。
治療費について
デュピクセントは、非常に効果が高く、満足度も高い治療ですが、治療を続けていく上で、費用について心配される方が多くいらっしゃいます。経済的な負担を減らすために、さまざまな医療費助成制度があります。
デュピクセントは高額療養費制度を利用すると世帯年収により薬剤費が低減されます。また、4回目以降(10か月以降)は更に低減されます。
その他、ご加入の健康保険組合によっては「付加給付制度」として、自己負担上限額が低く設定されている場合があります。(主に公務員の方、大企業にお勤めの方)
また、お子様に関しては「子ども医療費助成度」が各市町村で適応になります。
詳しくはご加入の健康保険組合等にご確認ください。
例:公務員の患者様は3ヶ月で25,000円の治療費。大企業にお勤めの患者様は3ヶ月で20,000円の治療費になります。実質の負担額は月7,000円〜8,000円になる可能性があります。
最新の情報や高額療養費のシミュレーションは下記のサイトをご覧ください。
他院にてデュピクセント導入済みの方
他院にてデュピクセント導入済みの方でも対応可能です。
当院で治療を行うにあたって、導入時の医師の皮膚症状評価が必要となりますので、紹介状をお持ちください。
デュピクセントの適応疾患
デュピクセントはアトピー性皮膚炎の他に結節性痒疹、特発性の慢性蕁麻疹の適応があります。各疾患でお困りの患者さんは医師にお尋ねください。
デュピクセント投与に注意が必要な方
- 喘息などアレルギー疾患をお持ちの方
- 寄生虫感染症疾患の方
デュピクセント治療をお考えの患者さんへ
デュピクセント治療をはじめた患者さんが「よく眠ねるようになった」「汗が滲みなくなった」「仕事や学業に集中できるようになった」など多くの声を頂いており、生活の質を大きく変える治療になります。クリニック一同精一杯サポートさせて頂きますので詳しくは医師・看護師にお尋ね下さい。
生物学的製剤をご希望の方へ
生物学的製剤は、従来の治療ではコントロールが難しかった中等症~重症のアトピー性皮膚炎や慢性蕁麻疹に対して、新たな治療の選択肢となります。
このような方におすすめ
- ステロイド外用薬や免疫抑制剤の副作用が気になる
- かゆみが強く、日常生活に支障がある
- 長年のアトピー治療で効果が得られなかった
当院では、患者さま一人ひとりに適した治療をご提案いたします。
▶ ご予約・お問い合わせはこちら
電話番号:059-269-5515
住所:三重県津市半田 中村整形外科皮フ科
アトピー性皮膚炎や慢性蕁麻疹の治療で、快適な生活を目指しましょう!

執筆者中村 文香
副院長 / 皮膚科専門医
皮膚科医として、皆様のお悩みに寄り添い、地域に根ざした診療を心掛けています。お困りの際はぜひご相談ください。
- 経歴
- 伊勢高等学校 卒業/関西医科大学医学部 卒業/三重大学皮膚科学講座入局/三重大学附属病院/関西医科大学付属病院/南伊勢町立病院/松阪市民病院/松阪中央病院/鈴鹿回生病院/ラベールミラクリニック(名古屋市内)/大手美容皮膚科(大阪市内) など
- 保有資格
- 日本専門医機構認定皮膚科専門医/産業医/難病指定医/日本化粧品検定1級/化粧品成分検定1級
- 所属学会
- 日本皮膚科学会