妊娠中の交通事故は、母体だけでなく赤ちゃんへの影響も心配になります。
事故直後は痛みがなくても、時間が経ってから症状が現れることもあるため、早めの受診がとても大切です。
「お腹の赤ちゃんに影響はない?」
「妊娠中でも検査や治療を受けられる?」
「痛みがあるけれど、薬を飲んでも大丈夫?」
このような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
当院では、母体と胎児の安全を最優先に考えた治療を行い、必要に応じて産婦人科とも連携しながら適切な対応をいたします。
このページでは、妊娠中の交通事故に関する注意点や、受けられる治療についてQ&A形式で詳しく解説しています。

妊娠中の交通事故について(Q&A)
Q: 妊娠中に交通事故に遭ってしまった場合、まず何をすべきですか?
A: 事故直後は自覚症状がなくても、母体や胎児に影響が出る可能性があります。まずは落ち着いて、できるだけ早く医療機関を受診してください。また、警察や保険会社への連絡も忘れずに行いましょう。
Q: 妊婦でも整形外科で診察や治療を受けられますか?
A: 受けられます。
ただし、胎児への影響を考慮しながら、安全な治療方法を選択する必要があります。必要に応じて産婦人科とも連携し、母体と赤ちゃんの安全を最優先に対応します。
Q: 妊娠中でもレントゲンやMRI検査は受けられますか?
A: レントゲン検査は胎児への影響を考慮し、基本的には避けますが、医師の判断で必要最小限の範囲で行うこともあります。MRIは放射線を使用しないため比較的安全とされていますが、妊娠初期(特に妊娠12週未満)は慎重に検討する必要があります。当院ではエコー検査などで対応しています。検査を受ける前に、必ず医師と相談してください。
Q: 妊婦でも交通事故の治療に使える保険はありますか?
A: 妊娠中であっても自賠責保険や任意保険を利用して治療を受けることが可能です。医療費や通院交通費の補償も受けられるため、費用の心配なく適切な治療を受けることができます。
Q: 事故後に特に気をつけるべき症状はありますか?
A: 交通事故の衝撃により、以下のような症状が出ることがあります。
- 腹痛や張り(胎児への影響の可能性)
- 出血(流産・早産のリスク)
- めまいやふらつき(貧血や血圧の変動)
- 強いストレスや不安(精神的な影響)
少しでも異常を感じた場合は、すぐに産婦人科を受診してください。
Q: 妊婦へのリハビリや治療はどのように行われますか?
A: 妊娠中の体への負担を考慮し、無理のない範囲で治療を行います。物理療法(電気治療や温熱療法)は基本的に避け、手技療法やストレッチなどの安全な方法を選択します。また、必要に応じて骨盤の安定性を高めるアドバイスや、自宅でできるストレッチ指導も行います。
Q: 妊娠中の事故で後遺障害の認定は受けられますか?
A: 交通事故による後遺症が残った場合は後遺障害診断書を作成し、認定申請が可能です。妊娠中は治療の選択肢が限られるため、症状が改善しにくい場合もあります。適切な診断と記録を残すことが重要ですので、医師にご相談ください。
Q: 妊娠中でも使える痛み止めはありますか?
A: アセトアミノフェン(カロナール)は比較的安全とされています。
ロキソニンやイブプロフェンは妊娠初期、中期(妊娠28週未満)は使用できますが、妊娠後期(28週以降)には使用はできません。
Q: 妊娠中に湿布や塗り薬は使えますか?
A: MS温シップ、MS冷湿布は比較的安全です。
ロキソニンテープやモーラステープは妊娠後期は避けましょう。
妊娠中の薬は慎重に!不安な場合は必ず医師に相談しましょう。
妊婦さんが使える可能性がある湿布薬・塗り薬 | ・サロンパスやトクホンなどの一般的な冷湿布 (メントール・カンフルなど) ・フェルビナク・インドメタシンを含まない温感湿布や塗り薬(医師の指示が必要) |
妊娠中に避けるべき湿布薬・塗り薬 | ・ロキソニンテープ、モーラステープ(ケトプロフェン) ※妊娠後期は使用できません。 ・インドメタシン・フェルビナクを含む湿布や塗り薬 ※妊娠中の安全性が確立されていないため避けましょう。 |
ポイント
- 湿布や塗り薬でも皮膚から薬剤が吸収されるため、妊娠中の使用には注意が必要です。
- 一般的な冷湿布や温湿布なら比較的安全ですが、念のため医師に相談してから使用してください。
Q: 痛みを和らげる他の方法は?
A: 下記の3点が有効とされています。
- 温める or 冷やす(症状による)
- 姿勢を工夫する(クッション活用)
- 骨盤ベルトの使用(医師と相談)
Q: 妊娠中に痛みを和らげるための代替方法はありますか?
A: 妊娠中は薬の使用を最小限にすることが望ましいため、以下のような非薬物療法もおすすめです。
- 温める or 冷やす(症状による)
- 軽いストレッチや体操(医師の指導のもと)
- 姿勢を工夫する(クッションや抱き枕を活用)
- 骨盤ベルトやサポーターの使用(適切な装着方法で)
妊娠中の痛みや不調は、母体と胎児の健康に影響する可能性がありますので、適切な治療方法を医師と相談しながら選択してください。
妊婦さんの安全と健康を第一に考え、最適な治療を提供いたします。事故後の対応や治療に関するご相談は、お気軽に当院までお問い合わせください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会