疲労感が続く方へ|ビタミンB群不足と体の不調

疲労感が続く方へ|ビタミンB群不足と体の不調

だるさ・集中力低下の背景に栄養不足が隠れていることがあります

「最近ずっと疲れている」
「朝からだるい」
「寝ても回復しない」
「集中できない」

このような不調は、忙しさや年齢だけが原因とは限りません。
栄養医学では、ビタミンB群不足が疲労感の背景にあることを重視します。ビタミンB群は、食べた栄養を体の中で使える形に変え、エネルギーを作るために欠かせない栄養素です。

ビタミンB群は「エネルギーを回す栄養素」です

糖質、脂質、たんぱく質は、食べるだけでは体の力になりません。
それらを実際に使える形に変えるには、ビタミンB群という“補酵素”が必要です。

そのためビタミンB群が不足すると、エネルギー産生がうまく回らず、
疲れやすい、だるい、集中できない、回復しにくいといった不調が出やすくなります。

中でもビタミンB6はとても重要です

ビタミンB6は、活性型のPLP(ピリドキサールリン酸)として働き、100以上の酵素反応に関わります。
特に大切なのが、たんぱく質代謝と神経の働き
です。

ビタミンB6が足りないと、たんぱく質の利用効率が落ち、
筋肉・皮膚・血液・神経など、全身に影響が出やすくなります。
そのため、B6欠乏では症状がひとつではなく、多彩な症状として表れます。

エネルギーの合成にもビタミンB6が関わっています

AST、ALTは、肝機能の採血でよく見る酵素ですが、
正確にはアミノ基転移酵素(transaminase)です。

これらの酵素はクエン酸回路という体内のエネルギー(ATP)の合成過程で必要です。これらの酵素が働くためには、活性型ビタミンB6であるPLPが必要です。
つまりビタミンB6は、たんぱく質代謝の基本反応そのものを支える栄養素です。

ビタミンB6はどこで吸収されるのか

ビタミンB6は主に小腸の空腸で吸収され、
門脈を通って肝臓へ運ばれ、そこで代謝されて体で使われます。

つまり、胃腸の不調がある方や、吸収が落ちている方では、
食事をしていても十分に利用できていないことがあります。

ビタミンB6不足で症状が多彩になる理由

ビタミンB6は、たんぱく質代謝だけでなく、
神経伝達物質の生成にも深く関わっています。

たとえば、ドパミン、ノルアドレナリン、GABA、セロトニン系の代謝に関わり、
その流れの中で睡眠リズムに関わるメラトニン系にも影響します。
そのため、不足すると疲労感だけでなく、気分の落ち込み、眠りの質の低下、しびれ、集中力低下などにつながることがあります。

こんな症状がある方は要注意です

ビタミンB6不足では、次のような症状がみられることがあります。

疲れやすい
だるい
集中できない
口内炎・口角炎ができやすい
舌の痛み
手足のしびれ
気分の落ち込み
眠りが浅い
皮膚荒れ

こうした不調が重なっているときは、
「気のせい」ではなく、栄養不足が関わっていることがあります。

亜鉛不足があると、ビタミンB6は働きにくくなります

栄養医学で大切なのは、
ひとつの栄養素だけを見ないことです。

ビタミンB6は単独で働くのではなく、
亜鉛など他の栄養素とも関係しています。
特に亜鉛はビタミンB6代謝に関わる酵素系に関与するため、亜鉛不足があるとB6の働きが弱くなる可能性があります。

「B6を摂っているのに改善しにくい」という場合は、
亜鉛不足も一緒に考える必要があります。

ビタミンB群不足を起こしやすい方

次のような方は、ビタミンB群不足に注意が必要です。

食事が不規則な方
炭水化物に偏りやすい方
たんぱく質摂取が少ない方
高齢の方
胃腸の調子が悪い方
飲酒量が多い方
慢性的な疲労感がある方

特に、忙しさで食事内容が乱れている方では、
「食べているつもりでも足りていない」ことが少なくありません。

食事で意識したい食品

ビタミンB群は、まず食事から整えることが基本です。

ビタミンB6は、
魚、肉、レバー、鶏肉、じゃがいも、バナナ、豆類などに多く含まれます。
ビタミンB群全体を意識するなら、豚肉、卵、乳製品、豆類、魚、海藻、緑黄色野菜も大切です。

まとめ

疲労感は、根性の問題ではありません。
体の中でエネルギーを回すための材料や補酵素が足りなければ、
人はきちんと回復できません。

特にビタミンB6は、
たんぱく質代謝
エネルギー代謝(クエン酸回路のATP合成)
神経伝達物質の生成
に深く関わる重要な栄養素です。

疲れやすさ、だるさ、しびれ、集中力低下が続く方は、
筋肉や関節だけでなく、栄養状態を見直すことが改善のきっかけになることがあります。

中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会