踵骨骨端症(シーバー病)とは?
踵骨骨端症(シーバー病)は、
成長期のお子さん(特に10歳前後のスポーツをする男の子)に多い、
かかとの成長軟骨が炎症を起こして痛くなる病気です。
サッカー・バスケットボール・陸上競技など、
走る・跳ぶ動きが多いスポーツでよく見られます。
主な症状
- 運動時・歩行時にかかとが痛い
- かかとを押すと痛い(圧痛)
- 朝や運動後に痛みが強くなる
- つま先立ちやジャンプで痛みが増す
- 痛い側の足をかばって歩くことがある
原因・病態
原因
- 成長期のかかとの骨端(成長軟骨)に負担がかかりすぎる
- 跑る・跳ぶ動作のくり返し
- 硬いグラウンドや体育館での運動
- 扁平足や足のアライメント異常による衝撃の増加
- かかとのクッション機能が未発達で、負担が集中しやすい
病態のイメージ
- アキレス腱や足底筋膜が、かかとの成長軟骨を何度も強く引っ張る
- その刺激が続くことで、成長軟骨に炎症が起こり痛みが出る
診断(どんな検査をする?)
診察(視診・触診)
- かかとを押して痛みが出る場所を確認
- 歩行やつま先立ちで痛みが強くならないかチェック
レントゲン検査
- 成長軟骨(骨端核)の状態を確認
- 骨折など、ほかの病気との見分け(鑑別)も行う
治療法
シーバー病の治療は、手術はほとんど不要で、
保存療法(手術をしない治療)が基本です。
保存療法(手術をしない治療)
① 運動制限・安静
- 痛みが強いときは、走る・跳ぶなどを減らし、負担を軽くする
- 痛みが落ち着いてから、段階的にスポーツに復帰
② アイシング(冷やす)
- 運動後にかかとを15〜20分程度冷やして炎症を抑える
③ ストレッチ・リハビリ
- ふくらはぎ(アキレス腱)や足底のストレッチ
- 足の筋力をつけて、衝撃を吸収しやすい足にしていく
④ 装具療法(インソール)
- かかと部分にクッションが入ったインソール
- 扁平足がある場合は、アーチサポート付きインソールも検討
⑤ 薬物療法(痛みが強い場合のみ)
- 必要に応じて、**消炎鎮痛薬(NSAIDs)で痛みをコントロール
手術療法
- 成長とともに自然に良くなる病気のため、
手術が必要になることはほとんどありません。
予後と注意点
- 成長が進むと、多くは自然に症状が改善
- 早めに
- 運動量の調整
- ストレッチ
- インソール
を行えば、スポーツを続けながら痛みを軽減できる場合もあります
- 痛みが強いときは「我慢して続ける」のではなく、
一度運動量を落として調整することが大切です。
当院での対応
中村整形外科皮フ科では、
- 成長期のお子さんのかかとの痛みの原因評価
- レントゲン検査によるシーバー病の診断
- 運動制限の目安・ストレッチ指導・インソールの提案 など
を行っています。
「スポーツのあと、かかとが痛くて泣いてしまう」
「同じところの痛みを何度もくり返している」
このような場合は、シーバー病の可能性があります。
お子さまのかかとの痛みが気になるときは、お早めにご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

