小児足関節捻挫とは、
お子さんの足首(足関節)をひねった際に、靭帯やその付着部・骨端線(成長線)を痛めるケガです。
- スポーツや遊び中に起こりやすい
- きちんと治さないと、足首のぐらつき(不安定性)や再発につながることがあります
💡子どもは靭帯そのものが切れるよりも、
骨端線の損傷や裂離骨折(骨が少しはがれる)が起きやすいのが特徴です。
主な症状
- 足首の痛み・腫れ
- 歩くと痛い、びっこを引く
- ひどい場合は内出血(青あざ)
- 足首を動かしにくい、動かすと痛い
原因と子ども特有のポイント
よくある原因
- スポーツ中の急な方向転換・ジャンプの着地ミス
- 段差や不安定な地面での転倒
- 足に合っていない靴での運動
子ども特有の病態
- 多くは内がえし捻挫(足を内側にひねる)
- 靭帯よりも
→ 骨端線(成長線)や靭帯付着部の骨・軟骨が傷みやすい - 重症の場合、裂離骨折を伴うことがあります
診断(どんな検査をする?)
診察(視診・触診)
- 腫れ・圧痛の場所
- 痛みでどこまで体重をかけられるか
を確認します。
レントゲン検査
- 骨折・裂離骨折の有無をチェック
(子どものねんざではとても大切です)
エコー・MRI検査
- 必要に応じて、
靭帯の損傷の程度や骨端線の損傷を詳しく評価します。
治療(基本は「保存療法」)
① RICE 処置(受傷直後の応急処置)
- R:Rest(安静)
無理に歩かせず、足首に負担をかけない - I:Ice(冷却)
1回15〜20分を目安に冷やし、腫れを抑える - C:Compression(圧迫)
包帯やサポーターで軽く圧迫 - E:Elevation(挙上)
足を心臓より少し高くして腫れを軽減
② ギプス固定
- 初回の捻挫で腫れ・皮下出血が強い
- 痛みで体重がかけられない
- 裂離骨折が疑われる/確認された場合
▶️ こうした場合は、3〜4週間程度のギプス固定を行います。
裂離骨折があるときは、骨癒合をしっかり得るために固定期間を長めにすることもあります。
③ サポーター・リハビリ
- ギプスを外した後は
- 足関節サポーターで保護
- 足首の可動域訓練(硬くならないように)
- 捻挫予防のトレーニング(バランス訓練・筋力強化)
を理学療法士と一緒に行います。
④ 手術療法(まれ)
- 保存療法でも足首の緩みが強く残る場合
- 大きくずれた新鮮な裂離骨片がある場合
に、靭帯の修復や裂離骨片の固定などの手術を検討することがあります。
予後と注意点
- 適切な治療をすれば、多くはしっかり完治します
- しかし、放置したり自己判断で早く運動を再開すると
→ 靭帯の緩み
→ 裂離骨片が残る
→ 「捻挫ぐせ」がつき、何度もくり返す原因になります
再発予防のポイント
- 足に合った運動靴の選択
- スポーツ前のウォームアップ・ストレッチ
- 痛みが残っているうちは無理をさせない
当院での対応
中村整形外科皮フ科では、
- レントゲン・エコー・MRIを組み合わせた正確な診断
- お子さまの年齢とスポーツレベルに合わせた
ギプス・サポーター・リハビリの計画 - 将来のスポーツ活動も見据えた再発予防指導
を行っています。
「ただの捻挫かな?」と思っても、
強い腫れ・内出血・歩けないほどの痛みがある場合は、
早めの受診をおすすめします。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

