アキレス腱付着部症とは、
アキレス腱とかかとの骨(踵骨)がついている部分に痛みや腫れが出る病気です。
- 足首を上に曲げたときの痛みが特徴的で
- 進行するとじっとしていてもズキズキ痛むことがあります
- かかとが深い・硬い靴で余計に痛みが増えることもあります
主な症状
こんな症状はありませんか?
- かかとの後ろ(アキレス腱がついているあたり)の痛み・腫れ
- 足首を反らす動きで強い痛みが出る
- 階段の上り下りやスポーツで痛みが増す
- 進行すると安静時でも痛む
- かかとの深い靴・硬い靴で痛みが悪化する
原因と病態
主な原因
- アキレス腱付着部への強い牽引力(引っ張り)や圧迫
- ランニング・ジャンプなどの使いすぎ(オーバーユース)
- ふくらはぎの筋肉の硬さ・柔軟性低下
- かかとに当たる不適切な靴
- かかとの形・足のアライメント異常
どんな変化が起きる?
アキレス腱とかかとの骨のつなぎ目に、繰り返し負担がかかることで
- 腱や付着部の変性(いたみ・劣化)
- 肉芽形成(組織がモコモコ増える)
- 石灰化・骨棘(骨のとげ)ができる
などの変化が起こり、痛みが続きやすくなります。
検査・診断
当院では、次のような検査を組み合わせて診断します。
- 診察(視診・触診)
アキレス腱付着部の腫れ・圧痛、足首の動きをチェック - レントゲン検査
骨棘(骨のとげ)の有無などを確認 - MRI検査
腱の変性・炎症の程度を詳しく評価
治療方法
1. 保存療法(手術をしない治療)
まずは体に負担の少ない方法から行います。
安静・負荷の調整
- ランニング・ジャンプなど負担の大きい動作を控える
- 痛みが強い時期は、無理なストレッチは行わない
薬物療法
- 消炎鎮痛薬(NSAIDs)などで痛み・炎症を抑える
インソール・靴の工夫
- かかとの負担を減らす足底挿板(インソール)
- かかとの硬い・深い靴は避ける
リハビリ・ストレッチ
- ふくらはぎの筋肉を無理のない範囲でストレッチ
- 痛みの程度に応じて、徐々にアキレス腱のリハビリを行う
簡易動注治療
- 痛みの原因となっている「もやもや血管」を注射で減らして痛みを軽減する新しい方法です。当院では積極的に行っています。
2. 手術療法(保存療法で改善しない場合)
長期間の保存療法でも改善しない場合や、変化が強い場合には手術を検討します。
- 変性した腱や骨棘の切除
- 状態によっては、腱の修復や関節周囲の調整手術を行うこともあります
手術を行うかどうかは、痛みの強さ・生活への影響・画像所見を踏まえて相談しながら決めていきます。
予後と日常生活のポイント
- 早めに治療を始めることで、スポーツ復帰もしやすくなります
- 日常的に
- 自分の足に合う靴を選ぶ
- ふくらはぎの柔軟性を保つストレッチを取り入れる
ことが再発予防に役立ちます
- 手術を行った場合も、リハビリを通じて徐々に運動再開を目指します
当院での対応
中村整形外科皮フ科では、
- 整形外科専門医による診察・画像検査
- 痛みの程度・生活スタイルに合わせた保存療法(薬・インソール・リハビリ)
- 手術が必要と判断される場合の連携医療機関へのご紹介
まで、一人ひとりに合わせた治療を行っています。
かかとの後ろの痛みが長引く方、スポーツや仕事に支障が出ている方は、
お早めにご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

