成人期扁平足とは、
大人になってから土踏まず(足のアーチ)が低くなり、足が扁平に見える状態をいいます。
特に、足の内側を支えている
後脛骨筋腱(こうけいこつきんけん)の機能低下が大きく関わっており、
進行すると足の変形や痛みで、長く歩けない・立っていられないなどの症状が出てきます。
※子どものころからの扁平足は、成長とともに自然に改善することも多く、
多くは心配いりません。ただし、「痛みがある」「歩き方が気になる」ときは、整形外科受診をおすすめします。
主な症状
こんな症状はありませんか?
- 内くるぶしの下あたりの腫れや痛み
(後脛骨筋腱の炎症が原因のことが多いです) - 立ったとき、土踏まずがほとんど見えない
- 後ろから見ると、かかとが外側に傾いている(踵の外反)
- 後ろから見て、足の指が「いつもより多く」見える
→ 足が扁平になって外側にはみ出しているサイン - 片足でつま先立ちができない、ふらつく
- 進行すると、足の外側の裏側にも痛みが出てくる
原因と病態
主な原因
- 後脛骨筋腱の障害(腱の炎症・部分断裂)
- 加齢や体重増加による足への負担増加
- 関節リウマチや神経疾患などの基礎疾患
- 長時間の立ち仕事・歩行など、足への継続的なストレス
どんなことが起きている?
- 後脛骨筋腱に炎症が起こると、
足のアーチを支える力が弱くなる - 障害が進み、腱が切れたり伸びたりすると、
アーチがつぶれ、かかとが外側に傾く - 放置すると、骨や関節にも変形が広がり、痛みが慢性化していきます
検査・診断
当院では、次のような方法で診断します。
診察(視診・触診)
- 足のアーチの高さ、かかとの傾き、指の見え方を確認
- 片脚つま先立ちテスト
→ 片足でつま先立ちができない場合、後脛骨筋腱の機能低下が疑われます
レントゲン検査(体重をかけて撮影)
- 実際に立った状態で、骨の並びや変形の程度を評価します
MRI検査
- 後脛骨筋腱の腫れ・損傷・断裂の有無を詳しく確認します
治療方法
1. 保存療法(手術をしない治療)
まずは、体への負担が少ない治療から行います。
薬物療法
- 消炎鎮痛薬(NSAIDs)などで、痛みや炎症を抑える
装具療法
- 足底挿板(インソール)でアーチを支える
- かかとの傾きを補正できるインソールを使用
- アーチを支え、足首を安定させる靴の選び方をアドバイス
運動療法(リハビリ)
- 足の指や足裏の筋肉を鍛えるトレーニング
- ふくらはぎ・足首周りのストレッチ
→ 足の負担を減らし、アーチをサポート
※痛みが強い時は、無理な運動は控えます。
2. 手術療法(重症の場合)
保存療法で改善しない、変形が進行している場合には、手術を検討します。
- 骨切り術・関節固定術
→ 骨の向きを整えたり、関節を固定して痛みを減らす - 腱移行術
→ 傷んだ後脛骨筋腱の代わりに、別の腱を移動して機能を補う
手術方法は、年齢・活動量・変形の程度などを考慮し、患者さんと相談しながら決めていきます。
予後と日常生活でのポイント
- 早めの受診・早めの治療がとても大切です
→ 進行してからでは、手術が必要になることもあります - 自分の足に合った靴・インソールを使うことで、
進行を予防し、痛みを軽くできる可能性があります - リハビリや自宅での足のエクササイズを続け、
足の筋力を保つことも重要です
当院での対応
中村整形外科皮フ科では、
- 整形外科専門医による診察・画像検査
- インソール・靴指導・リハビリを組み合わせた保存療法
- 手術が必要と判断される場合の専門医療機関へのご紹介
まで、一人ひとりの生活スタイルに合わせた治療方針をご提案します。
「立ち仕事で足がつらい」「最近、土踏まずがなくなってきた気がする」
と思われたら、早めにご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

