足根管症候群は、
足首の内くるぶしの下を通る脛骨神経(けいこつしんけい)が圧迫されて起こる病気です。
足の裏に
- 痛み
- しびれ
- 焼けるような感覚
が出ることが多く、歩いている時だけでなく、夜や安静時にも症状が続くことがあります。
主な症状
こんな症状はありませんか?
- 内くるぶしの下から、足の裏にかけての痛み・しびれ
- 歩いたり走ったりすると症状が悪化する
- 入浴中や寝ている時にも、じんじん・ビリビリする
- 約3割の方で、ふくらはぎの内側の痛みもみられる
- 内くるぶしの下が少し腫れて、押すと痛い
(ガングリオンなどの“しこり”が原因のこともあります)
原因・病態
足首の内くるぶしの下には、
足根管(そっこんかん)というトンネルのようなスペースがあり、
その中を神経・血管・腱が通っています。
この足根管の中で脛骨神経が圧迫されることで、
痛みやしびれが生じます。
代表的な原因は:
- ガングリオン(ゼリー状の液体がたまる良性の袋状のしこり)
- 良性腫瘍
- 足根骨癒合症などの生まれつきの骨の変形
- 合わない靴による圧迫
- 扁平足による神経の引っ張り
- ねんざや手術後の瘢痕・癒着
検査・診断
当院では、次のような方法で診断します。
診察(視診・触診)
- 足の裏のしびれ・痛みの範囲を確認
- 内くるぶしの下を軽く叩いて、足の裏に「ビリッ」とひびくかを確認
→ ティネル徴候と呼ばれます
画像検査
- レントゲン:骨の変形の有無を確認
- 超音波(エコー):ガングリオンや腫瘤の確認
- MRI:神経を圧迫している原因がないか、より詳しく評価
治療(保存療法と手術療法)
保存療法(手術をしない治療)
まずは体への負担が少ない治療から行います。
- 足に合った靴の選択(きつい靴・硬い靴を避ける)
- 足底挿板(インソール)で足のアーチを支え、神経の圧迫を軽減
- リハビリ・物理療法で、筋緊張や神経の負担を和らげる
- 鎮痛薬・湿布などによる痛みや炎症のコントロール
- ガングリオンが原因の場合:
→ 注射で中の液体を抜いて圧迫を軽くすることがあります - 必要に応じて、超音波ガイド下でのステロイド注射を行い、神経周囲の炎症を抑える
手術療法(保存療法で改善しない場合)
症状が強い・長く続く場合には、手術を検討します。
- ガングリオンや腫瘍の摘出
- 足根骨癒合症などの骨の突出部を削る手術
- 足根管の膜(屈筋支帯)を切開し、神経の圧迫を減らす手術
当院での対応
中村整形外科皮フ科では、
- 整形外科専門医による診察・画像検査
- インソールやリハビリ、注射などを組み合わせた保存療法
- 手術が必要と判断した場合は、専門病院へのご紹介
を行っています。
「足の裏のしびれが続く」「内くるぶしのあたりがいつもビリビリする」など、
気になる症状があれば、早めの受診をおすすめします。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

