糖尿病足とは?
糖尿病足とは、糖尿病による神経障害や血行障害が原因で、足に傷・潰瘍・感染・壊疽(えそ)が起こる状態のことです。
いったん悪くなると傷が治りにくく、重症になると足の切断が必要になる場合もあります。
しかし、毎日のフットケアと早めの受診で、多くは予防・早期発見が可能です。
主な症状の例
- 足の感覚が鈍くなる、しびれる(やけどやケガに気づきにくい)
- 足の血流が悪く、傷が治りにくい
- 小さな傷・マメ・靴ずれから潰瘍や感染に進行する
- 足指の変形、皮膚の乾燥・ひび割れ・亀裂
- 歩いたときの違和感や痛み
※神経障害が進んでいると、重症でもあまり痛くないことがあります。
なぜ起こるの?(原因・病態)
神経障害
- 足の感覚が鈍くなり、傷ややけどに気づきにくい
- 変形や乾燥した皮膚から、タコ・ひび割れ・潰瘍ができやすくなる
血行障害
- 動脈硬化などで血流が悪くなり、傷の治りが極端に遅くなる
- 潰瘍が深くなり、壊疽(組織が黒く死んでしまう状態)へ進行することがある
検査・診断
- 診察:足の皮膚、爪、変形、潰瘍、感染の有無をチェック
- ABI検査(足関節上腕血圧比):足の血流の状態を評価
- レントゲン・MRI:骨の変形や、糖尿病に伴うシャルコー足などを確認
一番大事なのは「毎日のフットケア」
毎日チェック
- 足の裏・足指の間・かかと・爪まわりを毎日観察
- 赤み、腫れ、水ぶくれ、傷、出血、色の変化(黒ずみ)などがないか確認
- 見えにくい場合は、家族に見てもらう・鏡を使う
足の洗い方・保湿
- ぬるま湯で優しく洗い、よく拭いてから保湿クリーム
- 爪はまっすぐ切り、深爪や角を丸く削りすぎない(巻き爪予防)
靴・靴下の選び方
- つま先にゆとりがあり、足の指が自由に動かせる靴
- 靴の中のゴミ・小石・縫い目の段差がないか、履く前にチェック
- きつすぎない靴下(ゴムの跡が強く残らないもの)
日常生活での注意
- 裸足で歩かない(家の中でもスリッパなどを使用)
- あんか・カイロなどの低温やけどに注意
- 自分でタコ・胼胝(うおのめ)を削らない
- 喫煙は血流を悪くするため、禁煙が重要
傷・潰瘍ができてしまったら
早めの受診がとても大切です。
保存的治療
- トータルコンタクトキャスト(足底にフィットするギプス)などで、
傷にかかる体重負担を減らす - 治療用中敷き(インソール)や靴型装具で、圧力を分散
- 感染があれば抗生物質の内服・点滴
外科的治療(重症例)
- 入院のうえで血糖・感染の厳重管理
- 壊疽部の排膿・切除
- 血行再建術(血流を良くする手術)が必要になることも
- 重度の場合、足の一部・全体の切断が検討されることもあります
治療後も再発しやすいため、定期通院とフットケアの継続が欠かせません。
当院での対応
中村整形外科皮フ科では、
- 整形外科による足の骨・関節・血流・歩行の評価
- 皮膚科と連携した、潰瘍・感染・タコ・爪トラブルの治療
- インソール・靴・日常のフットケア指導
などを行い、「足を守ること」「切断を防ぐこと」を目標に診療しています。
糖尿病があり、足の傷や色の変化が気になる方は、早めにご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

