リスフラン関節損傷について

リスフラン関節損傷とは?

リスフラン関節損傷とは、
足の甲の中央部にある「リスフラン靭帯」を含む靭帯が傷んだり、骨折を伴うケガです。

  • 第1楔状骨(C1)と第2中足骨(M2)の間にある靭帯
  • 足のアーチ(横アーチ)を支える、非常に重要な部分

ここが損傷すると、足の安定性が失われ、強い痛みや長引く腫れの原因になります。

主な症状

こんな症状のときは要注意です。

  • 足の甲(足背)が大きく腫れている
  • 足の甲の中央〜内側を押すと強く痛い
  • 体重をかけると足の甲がズキッと痛む
  • つま先立ちや踏み込み動作で痛みが増す
  • 足の内側・外側から両手で挟むように押すと痛みが誘発される

ケガから時間が経ってしまうと、

  • 足のアーチが低くなる
  • 歩くたびに足の甲が痛む

などの慢性的な痛みや変形につながることがあります。

原因・病態

リスフラン関節損傷は、次のような場面で起こりやすいケガです。

  • つま先立ちで強い力が加わる
  • 高い所からの落下・ジャンプ着地での衝撃
  • サッカー・バスケットボール・アメフトなどで相手に踏まれる・ひねられる
  • 交通事故などの大きな外傷

強い外力が加わることで、

  • 靭帯が伸びる・切れる
  • 関節がずれる
  • 骨折(裂離骨折など)を伴う

などし、足部のアーチが崩れ、不安定性や慢性疼痛の原因になります。

診断方法

  • X線(レントゲン)検査
    └ 第1楔状骨と第2中足骨の「開き」がないか
    └ 骨折の有無、関節のズレを確認
    └ 体重をかけたレントゲンで、よりはっきりわかることもあります
  • CT検査
    └ レントゲンではわかりにくい関節のズレや骨折を精密に確認
  • MRI検査
    └ リスフラン靭帯そのものの損傷の有無・程度を評価

「ただの捻挫」と判断され見逃されることもあるため、
足の甲の腫れ・痛みが長く続く場合は精密検査が大切です。

治療方法

靭帯損傷の程度や関節のズレの有無で、
保存療法手術かを決めます。

保存療法(手術をしない治療)

  • 関節のズレ(離開)がない場合が適応
  • 約6週間の免荷ギプス固定(体重をかけない)
  • その後、サポーターや装具を使いながら、
    リハビリで足の安定性の回復を目指します

手術療法(関節のズレ・重度損傷がある場合)

以下のような場合は手術が推奨されます。

  • レントゲン・CTで明らかな関節の離開がある
  • 骨折を伴っている
  • 不安定性が強い

主な手術方法:

  • スクリュー固定
    └ 金属スクリューで関節をしっかり固定
  • スーチャーアンカー固定
    └ 靭帯を再建する特殊な固定法
  • 靭帯再建術
    └ 靭帯損傷が高度な場合
  • 関節固定術
    └ 慢性期で変形・痛みが強い場合に適応

適切な治療を行うことで、
将来の変形や慢性的な足の痛みを防ぐことが可能です。

当院での対応

中村整形外科皮フ科では、

  • スポーツや転倒後の足の甲の痛みに対する評価
  • レントゲン・必要に応じてMRI・CTの検査依頼
  • 初期固定・免荷指導・リハビリの実施
  • 手術が必要と判断される場合は、
    足の外傷に詳しい専門医療機関への紹介

などを行っています。

「捻挫だと思っていたけれど、腫れと痛みがなかなか引かない」
という場合、リスフラン関節損傷が隠れていることがあります。
気になる症状が続くときは、早めの受診をおすすめします。