リウマチ足

リウマチ足とは

関節リウマチの炎症が足の関節や靭帯に広がり、
痛みや変形、歩きにくさを引き起こしている状態をいいます。

足は関節リウマチの影響を受けやすく、
放っておくと歩行がむずかしくなることもあるため、早めの対策が大切です。


主な症状

リウマチ足では、次のような症状がみられます。

  • 足の腫れ・痛み
    └ 特に「朝のこわばり」や、動き始めに強く感じる
  • 足の指の変形
    └ 外反母趾、浮き指、指が曲がる など
  • 足裏のタコ・潰瘍
    └ 骨の出っ張りに体重がかかりやすくなるため
  • 歩きづらさ・バランス不良
    └ 変形が進むと、長く歩けない・ふらつきやすい

原因・病態

関節リウマチは、自分の免疫が関節を攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)です。
足では次のような変化が起こります。

  • 関節に炎症が起きて腫れる
  • 靭帯や腱が傷み、足のアーチが崩れる
  • 骨や軟骨が壊れ、関節が変形する

その結果、

  • 外反扁平足(土踏まずが低くなる)
  • ハンマートウ(指が曲がる変形)

などが起こり、歩行時の痛みやバランスの悪さにつながります。


診断方法

リウマチ足の診断には、次のような検査を組み合わせます。

  • 視診・触診
    └ 足の腫れ・変形・押したときの痛みをチェック
  • X線(レントゲン)検査
    └ 関節の破壊や変形の進み具合を評価
  • MRI・超音波検査
    └ 炎症の程度や靭帯・腱の損傷を詳しく確認
  • 血液検査
    └ リウマチ因子(RF)、抗CCP抗体、CRP・ESR(炎症反応)などを測定

※初期のリウマチでは、レントゲンに写らないこともあるため、
 超音波やMRIが有用な場合があります。


治療方法

進行度にあわせて、保存的治療(手術なし)と手術を検討します。

保存的治療(手術をしない治療)

  • 薬物治療
    └ 抗リウマチ薬(メトトレキサートなど)、生物学的製剤で炎症を抑える
  • 足底挿板(インソール)・サポーター
    └ 足の負担を減らし、変形の進行を抑える
  • 靴型装具
    └ 歩きやすさと安定性を高める特別な靴
  • リハビリテーション
    └ 足趾や足首のストレッチ・筋力強化
  • 注射治療
    └ 痛みや炎症が強い関節に、ステロイドなどを注射することもあります

手術療法(変形が進行した場合)

保存療法で痛みが治まらない・歩行が困難な場合に検討します。

  • 前足部の手術
    └ 切除関節形成術、関節固定術、人工関節置換術 など
  • 後足部の手術
    └ 滑膜切除術、関節固定術、人工足関節置換術 など
  • 関節固定術
    └ 痛みの原因となる関節を固定して、変形と痛みを抑える
  • 人工足関節置換術
    └ 足関節の動きをできるだけ残す手術(適応は慎重に判断)

どの手術を選ぶかは、年齢・活動量・変形の程度・生活スタイルを考慮して決めていきます。


当院での対応

中村整形外科皮フ科では、リウマチ足について

  • 症状・変形の程度の評価
  • レントゲン・超音波などを用いた検査
  • インソールや靴・装具の提案
  • リハビリテーションのご案内
  • リウマチ専門医との連携・手術可能な施設のご紹介

など、患者さまの生活スタイルに合わせた治療方針をご提案します。


症例紹介

80歳代女性・関節リウマチで生物学的製剤を使用中

  • 左足部の痛みを主訴に受診
  • レントゲンで左第5足趾MTP関節に骨びらんを確認
  • 超音波検査で、同部位の関節に血流増加(炎症所見)を認めた
  • 関節炎による痛みと判断し、ステロイド関節内注射を実施
  • 注射後、左足の痛みは速やかに軽快

このように、関節炎が強いときに早期に対応することで、
痛みを和らげ、関節破壊の進行を抑えることが期待できます。