大腿骨顆部皮質骨不整 Femoral Condyle Irregularity

  • 幼児~小学生に多い一過性の膝の骨の“形のムラ”です。
  • 多くは痛み少なく自然に改善します。
  • ただし離断性骨軟骨炎(OCD)との鑑別にMRIが必須です。

こんなお子さんに

  • 運動のあと膝が少し痛いと言うことがある
  • レントゲンで大腿骨の端がいびつと言われた
  • 2〜6歳(ときに10歳以上)

まずは無理せず休む→必要ならMRIで軟骨が正常か確認します。


FCIって?(超要約)

成長途中の大腿骨顆部(膝の骨の端)が一時的に不規則に見える状態。
成長に伴い整っていくことがほとんどです。


OCDとの違い(要点)

  • FCI:MRIで軟骨は保たれる/痛みは軽い or 一過性
  • OCD軟骨不整・骨片の分離が出ること/痛みが持続しやすい
  • 迷うときほどMRIが安心材料になります

当院でできること(最短4ステップ)

  1. 診察・問診(痛みの場所/運動量)
  2. X線(骨の形を確認)
  3. 必要に応じてMRI軟骨が正常かを確認)
  4. 説明+見守り計画(運動量の調整・再診タイミング)

家庭でのケア

  • 痛い日は休む(ジャンプ・ダッシュは控える)
  • アイシング10〜15分
  • ストレッチ(太もも前後・ふくらはぎ)
  • 短期の鎮痛薬は必要時のみ

受診の目安

  • 1〜2週間以上 痛みが続く/夜間痛がある
  • 腫れ・引っかかり・水がたまる
  • びっこを引く、階段で痛い
  • OCDが心配と言われた/セカンドオピニオン希望

症例1

  • 7歳男児。バレーボール練習中に左膝痛自覚。
  • MRIでFCIと診断(軟骨は正常)。
  • 運動量の調整+保存療法症状は改善

   大腿骨外顆部に皮質骨に不整があります           表面の軟骨面が保たれています


よくある質問

Q. 放っておいて大丈夫?
A. 多くは自然に改善します。ただし最初にMRIで鑑別しておくと安心です。

Q. いつ運動再開?
A. 痛みゼロ→軽い動き→段階的に強度アップ。診察で具体案をお伝えします。

Q. 将来の成長に影響?
A. 一般に影響は残しません。長引く症状があれば再評価します。

2〜6歳の幼児に多く、時には10歳以上でも見られます。
膝の関節の一部(大腿骨の端)が成長の途中で不規則な形に見える状態ですが、ほとんどの場合、痛みはなく自然に改善します。ただし、MRIで関節の軟骨が正常であることを確認し、離断性骨軟骨炎との鑑別が重要です。

      

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中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会