股関節は日常生活を支える大切な関節
股関節は「立つ・歩く・座る」といった、日常生活のあらゆる動作に欠かせない関節です。
歩くときには片足に体重がかかり、股関節には体重の数倍の負荷がかかるといわれています。異常が生じると痛みや動作の制限が起こり、生活の質を大きく低下させてしまいます。
また、股関節は腰や膝とも密接に関係しているため、不調を放置すると姿勢や歩行に悪影響を及ぼし、進行すれば寝たきりにつながる可能性もあります。

股関節の構造
股関節は、大腿骨の骨頭(ボール状の部分)と骨盤の臼蓋(受け皿の部分)が組み合わさることで、なめらかに動きます。
この仕組みによって前後・左右・回旋など多方向の動きが可能になります。
しかし、臼蓋が浅い「臼蓋形成不全」や先天性股関節脱臼などがあると、関節に負担がかかりやすく、将来的に変形性股関節症などの病気を引き起こす原因となることがあります。
股関節痛を引き起こす主な原因
骨折(大腿骨頸部骨折・転子部骨折)
- 高齢者や骨粗鬆症の方に多く、転倒が主な原因です。
- 強い痛みで立つ・歩くことが困難になり、多くの場合は手術が必要となります。

変形性股関節症
- 軟骨の摩耗や生まれつきの骨の形の異常(臼蓋形成不全)によって関節がこすれ合い、炎症や変形が起こります。
- 中高年の女性に多く見られる病気です。

大腿骨頭壊死症
- 大腿骨の骨頭部分の血流が途絶え、骨が壊死してしまう病気です。
- ステロイド薬の長期使用や大量飲酒などが原因となることがあります。
- 難病に指定されており、進行すると変形性股関節症へ移行することがあります。
神経障害(閉鎖神経障害・大腿神経痛)
- 股関節周囲の神経が圧迫されることで痛みやしびれが出ます。
- 手術後や筋肉の過緊張、長時間の座位などが原因になることがあります。
股関節痛によくみられる症状
- 歩き始めや長時間歩いた後に股関節が痛む
- 階段の昇降で足の付け根が詰まる感じがする
- 靴下を履く、足の爪を切るといった動作が難しい
- 車やバスの乗り降りに手すりが必要になる
- 進行すると安静時や夜間にも痛みが出る
このような症状がある場合は、放置せず早めの診察をおすすめします。
股関節痛に対する治療法
保存療法(まずは手術以外の治療から)
- 薬物療法:鎮痛薬や関節注射(ヒアルロン酸、ステロイドなど)
- リハビリ:ストレッチや筋力強化で関節の負担を軽減、神経の滑走障害の改善
- 生活指導:体重管理、杖の使用、動作指導
手術療法
- 保存療法で効果が不十分な場合や関節の変形が進行した場合は、人工股関節置換術などの手術が検討されます。
- 特に変形性股関節症や大腿骨頭壊死症の進行例では有効です。
当院の取り組み
当院では、レントゲン・MRIなどの画像検査を用いた精密な診断を行い、
保存療法からリハビリ、必要に応じた専門病院への手術紹介まで、患者様に最適な治療をご提案しています。
「股関節が痛い」「足の付け根に違和感がある」と感じたら、症状が軽いうちにご相談ください。
早期に治療を始めることで、痛みの進行を抑え、生活の質を維持することができます。
まとめ
股関節の痛みには、骨折・変形性股関節症・大腿骨頭壊死症・神経障害などさまざまな原因があります。
放置すると症状が悪化し、歩行困難や寝たきりにつながるリスクもあるため、早めの診察・治療が重要です。
中村整形外科皮フ科では、「正確な診断」+「患者様一人ひとりに合わせた治療」を行っています。
股関節の痛みでお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会