スポーツ障害(スポーツ時の怪我)
競技中に転倒、ボディコンタクト等で発生する骨折、脱臼、捻挫、肉離れ(スポーツ外傷)、あるいは、繰り返し動作による体への負荷によって起きる身体のダメージ(スポーツ障害)が治療対象です。
スポーツ選手にとって、治癒がゴールではなく、競技復帰が最終的な治療のゴールです。したがって、関節や筋肉が弱らないよう早期にリハビリを進める必要があります。
運動時の癖や、お身体の柔軟性の低下、休養不足(練習のしすぎ)、栄養不足など様々な原因が隠れています。原因の追求と対策が再発予防には重要です。
当院では日本整形外科学会スポーツ医と豊富な経験をもつ理学療法士が協力して皆様の競技復帰を支援いたします。
成長期野球肘内側障害(小中学生)
病態
効率の悪い投球フォーム、身体の柔軟性の低下、過剰な投球練習により、肘の外側にストレスがかかり、肘の内側の支持機構を損傷し、発症します。
内側側副靭帯、前腕回内屈筋群の付着部(骨端軟骨=成長軟骨、骨端線)が筋肉により牽引力(ひっぱり)・剪断力(ずれ)がかかり発症します。病態別に下記に分類されます。
- 骨端障害
- 裂離損傷(筋肉が骨と一緒に剥がれた状態)
- 骨端線閉鎖不全(成長軟骨部が閉じない)
- 骨端線離開(成長軟骨が骨から外れた状態)
症状
病期:透亮期、反応期、裂離期、隔絶期の4期で症状が異なります。
- 透亮期 痛みが少なく気づくのが遅れます。
- 反応期 炎症が強くなり痛みが数日間続きますが1-2週間の安静にて痛みは消失します。十分な安静期間を取らずに投球を再開すると痛みが再発します。
- 裂離期 軟骨が損傷し、曲げ伸ばしの際に強い痛みで肘が動かせなくなります。
- 隔絶期 骨の自然治癒能力が失われ骨片がくっつくかなくなった状態です。肘の可動域が狭い、あるいは無理な投球をすると肘が痛くなるなど、後遺症が残る場合があります。
治療
痛みがあるときは完全な投球動作中止が原則です。
レントゲンとMRIで病期を的確に診断し、安静期間を決めます。
骨折の場合や骨折がなくても痛みが強いときは一時的に固定を行います。
投球中止中は、体幹や骨盤の立位アライメントの修正、肩甲帯の柔軟性トレーニングや肩甲骨周囲の筋力トレーニングを行います。(肘は安静、それ以外はトレーニング)
予防
投球フォームの改善、身体の成長に応じた練習内容の見直し、身体の柔軟性の獲得が重要です。
テニス肘
病態
短橈側手根屈筋という筋肉が骨に付着する部分が加齢と使いすぎで傷み発症します。
この部位は血流が乏しく、微細な損傷が修復しづらいとされます。
症状
バックハンドストロークの際に痛みが増強します。
外側上顆部を押さえると痛みがあり、肘を伸ばした状態で手首をそらすと痛みが誘発されます。
治療
まずは、消炎鎮痛薬の内服・外用を行い、テニス肘バンドを装着します。
前腕部のストレッチも有効です。
患部へステロイド注射すると速やかに痛みは早期に消失しますが、使いすぎると痛みは再発します。
ステロイドの注射をしても、痛みが続く場合はPRP-FD注射も検討します。
上記保存療法で90%以上は半年くらいで痛みはなくなります。
半年以上保存的治療を行っても痛みが続く場合は手術を検討します。
PRP注射が著効しますので、手術症例は減っています。当院では、PRP-FD注射も対応しておりますのでお困りの際はご相談ください。
リハビリ
発症早期(痛みの強い時期)はスポーツ休止と安静が大切です。
痛みが軽減したらストレッチを開始しましょう。
前腕伸筋群のストレッチや筋力維持増強訓練を行います。
肩関節後方の硬さがあればストレッチで是正します。
橈骨頭のモビライゼーションも有効です(詳しくはリハビリスタッフへご相談ください)。
再発繰り返す場合、両手打ちバックハンドへの変更も検討しましょう。
再発予防策
柔らかくて、スイートスポットの大きく、グリップサイズがちょうどいいラケット (中指の先端と母指球の間に指1本分のスペースがあるもの)を選択しましょう。