交通事故のむちうちはMRIが必要?1.5テスラ MRIが重要な理由
交通事故のあと、
「首が痛い」
「肩が張る」
「手がしびれる」
「腰まで痛くなってきた」
このような症状が続くことがあります。
ところが、レントゲンでは
「骨には異常ありません」
と言われることも少なくありません。
しかし、
レントゲンで異常がない = 何も起きていない
ではありません。
レントゲンで主にわかるのは骨の異常です。
一方で、
椎間板、神経、靱帯などの異常は、
MRIでないと詳しくわからないことがあります。
交通事故後の痛みやしびれを正しく評価するために、
MRIが重要になるのはこのためです。
レントゲンではヘルニアはわかりません
交通事故の初期評価で、レントゲンはとても大切です。
骨折
脱臼
骨の並びの異常
加齢による変形の有無
こうした異常を確認するためです。
ただし、
椎間板ヘルニアそのものはレントゲンでは評価できません。
首や腰の痛みが強い。
しびれがある。
症状が長引いている。
このような場合は、
レントゲンだけでは不十分なことがあります。
MRIが大切になるケース
交通事故後の方すべてに、
最初からMRIが必要というわけではありません。
しかし、
しびれがある
痛みが強い
神経症状がある
治療しても改善が乏しい
このような場合は、
MRIを行う意味が大きくなります。
MRIでは、
・椎間板ヘルニアの有無
・神経の圧迫
・脊髄や神経根への影響
・軟部組織の異常
を詳しく確認できます。
1.5テスラ MRIが有効な理由
交通事故後のMRIでは、
1.5テスラ MRIが有効です。
1.5テスラ MRIは、
画質と安定性のバランスがよく、
脊椎の検査でも広く用いられています。
特に、
椎間板の輝度変化をみたい
椎間板ヘルニアの細かな大きさの変化を比較したい
神経の圧迫を詳しく確認したい
このような場合は、
1.5テスラ MRIのほうが詳細な評価に向いています。
低磁場のオープンMRIには限界があります
いわゆるオープンMRIは、
圧迫感が少なく、
閉所が苦手な方でも受けやすいという利点があります。
ただし、
0.5テスラ前後の低磁場オープンMRIは、一般に低画質です。
そのため、
・椎間板の細かな輝度の変化
・神経の圧迫の程度
・ヘルニアのサイズ変化
・経時的な比較
といった詳細な検討には不向きなことがあります。
交通事故後などヘルニアをしっかり評価する必要がある場合は
1.5テスラ MRIで撮影する意義が大きいと考えています。
「もともとの変性」だけでは説明できないことがあります
MRIでヘルニアが見つかっても、
それだけで
「今回の事故で新しくできた」
とすぐ断定できるわけではありません。
年齢とともに、
症状がなくても椎間板の変性がみられることはあります。
だからこそ大切なのは、
MRIを1回だけ見ることではありません。
事故直後に撮影し、
その後の経過と比較することが重要です。
実際にMRIが重要になった一例
ここで、
外傷性腰椎椎間板ヘルニアが疑われた一例を示します。
交通事故後、
患者さんは強い腰痛を訴えました。
レントゲンでは、
明らかな骨折は指摘できませんでした。
しかし、
症状が強かったためMRIを撮影したところ、
腰椎椎間板ヘルニアを認めました。
しかしこの椎間板ヘルニアが事故後でできたものなのか、もともとの椎間板ヘルニアなのか判断はできません。
事故直後のMRI
事故直後のMRIでは、
腰椎椎間板ヘルニアを認めます。

〔画像①:事故直後MRI〕
事故から3か月後のMRI
3か月後のMRIでは、
椎間板の信号変化(輝度変化)と、
ヘルニア形態の変化を確認できます。
1回だけのMRIではわからなくても、
時間をおいて比較することで、
事故後の病変の変化を見やすくなります。

〔画像②:事故後3か月MRI〕
事故から6か月後のMRI
6か月後のMRIでは、
ヘルニアのサイズ変化を確認できました。
このように、
事故直後、3か月後、6か月後のMRIを比較することで、
椎間板の輝度変化
ヘルニアサイズの変化
症状との関連
を客観的に評価できる場合があります。
その結果、
今回の事故を契機にヘルニアが悪化した可能性を考える、
重要な材料になります。

〔画像③:事故後6か月MRI〕
MRIは後遺障害申請の場面でも重要です
交通事故では、
あとから痛みやしびれが長引くことがあります。
そのとき大切なのは、
自覚症状だけでなく、
客観的な画像資料があることです。
事故直後から1.5テスラ MRIで記録を残し、
さらに3か月後、6か月後と比較できれば、
病変の推移をより正確に評価しやすくなります。
万が一、症状が残った場合にも、
MRIの画像データは大切な資料になります。
まとめ
交通事故のむちうちや腰痛では、
レントゲンだけではわからない異常が隠れていることがあります。
特に、
しびれがある
痛みが強い
症状が長引く
神経症状がある
このような場合は、MRIが重要です。
そして、
詳しい評価を行うなら1.5テスラMRIが有効です。
一方で、
0.5T前後の低磁場オープンMRIは、開放感という利点はあるものの、詳細な脊椎評価には不向きなことがあります。
当院では1.5T MRIを導入しており、交通事故後の痛みやしびれに対して、より詳しい評価を行える体制を整えています。
交通事故後の首の痛み、しびれ、腰痛、下肢症状でお困りの方は、早めにご相談ください。
適切なタイミングでMRIを行うことが、正確な診断と、その後の経過評価につながります。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

