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肩こりが治らない原因は鉄不足かも?フェリチン低値と中学生・女性の慢性肩こりを解説

肩こりが治らない原因は鉄不足かも?フェリチン低値と中学生・女性の慢性肩こりを解説

その肩こり、首や肩だけの問題ではありません

湿布で治らない肩こり。
マッサージですぐ戻る肩こり。
その原因は、筋肉だけではないかもしれません。

当院では、
中学生のひどい肩こりや、
30〜40代女性の慢性的な強い肩こりの方を多く診ています。

そうした方の中には、採血で
フェリチンが極端に低い方が少なくありません。

つまり、
「肩こり」と思っている症状の背景に、鉄不足が隠れていることがあるのです。

肩こりの原因は、姿勢だけではありません

肩こりというと、

  • 姿勢不良
  • スマホや勉強
  • デスクワーク
  • 眼精疲労
  • ストレス
  • 睡眠不足

こうした原因がよく知られています。

もちろん、どれも大切な要因です。
ただ、つらい肩こりが長く続く方では、
体の内側の問題も考える必要があります。

その一つが、
鉄不足です。

鉄は「貧血のためだけ」の栄養素ではありません

鉄というと、
「貧血に関係するもの」
というイメージが強いかもしれません。

ですが、鉄の役割はそれだけではありません。

鉄は、細胞の中にあるミトコンドリア(下図)で、ATPというエネルギーを作るためにも必要です。

ATPは、

  • 筋肉を動かす
  • 神経を働かせる
  • 体を回復させる

ために欠かせないエネルギーです。

つまり鉄は、
酸素を運ぶだけでなく、体がエネルギーを生み出す仕組みにも深く関わっているのです。

そのため、鉄が不足すると、

  • 疲れやすい
  • だるい
  • 集中できない
  • 朝からしんどい
  • 筋肉が張る
  • 首や肩がこる

こうした不調が出やすくなります。

「貧血ではない」=「鉄は足りている」ではありません

ここは大切なポイントです。

健康診断で
「貧血ではありません」
と言われても、安心とは限りません。

ヘモグロビンが正常でも、
貯蔵鉄が不足していることがあります。

この状態では、

  • なんとなくだるい
  • 頭が重い
  • 朝がつらい
  • 頭痛がある
  • 立ちくらみがある
  • 肩こりがひどい

といった症状が出ることがあります。

つまり、
数値上は大きな異常がなくても、体はしっかり不調を出していることがあるのです。

外来診察をしているとこうした患者さんの数がかなり多い印象があります。

中学生の肩こりも、軽く見てはいけません

中学生の肩こりは、

「姿勢が悪いから」
「スマホの見すぎ」
「勉強のしすぎ」

で片付けられがちです。

もちろん、それもあります。
ただ、それだけではないこともあります。

中学生は、

  • 成長で鉄の必要量が増える
  • 朝食を抜きがち
  • 食事が偏りやすい
  • 女子では月経が始まる

といった理由で、
鉄不足になりやすい時期です。

若いから大丈夫、ではありません。
若いからこそ、
代謝が活発で、鉄不足の影響を受けやすいことがあります。

中学生で、

  • 肩こりがひどい
  • 頭痛が多い
  • 朝からだるい
  • 集中力が続かない

こうした症状がある場合は、
姿勢だけでなく、
鉄不足の視点でみることが大切です。

30〜40代女性のひどい肩こりに多い背景

30〜40代女性は、

  • 仕事
  • 家事
  • 育児
  • 睡眠不足
  • ストレス

が重なりやすい年代です。

さらに、
月経による慢性的な鉄の損失が続く方も少なくありません。

そのため、

  • ずっと肩が重い
  • 朝から疲れている
  • マッサージしてもすぐ戻る
  • 頭痛やめまいもある

こうした状態になりやすくなります。

肩こりとして治療していても、
実は背景に

  • 鉄不足
  • 低栄養
  • エネルギー不足

が隠れていることがあります。

オーソモレキュラー栄養医学では「optimal range」で考えます

当院が参考にしている考え方の一つに、
オーソモレキュラー栄養医学があります。

ここでは、
単に「基準値内かどうか」だけではなく、

その人の代謝や症状にとって十分な濃度かどうか

を重視します。

この考え方を、
optimal range(最適域)
と呼びます。

つまり、
検査で「異常なし」と言われても、
その人にとっては足りていないことがある、という考え方です。

フェリチンもその一つです。

オーソモレキュラー栄養医学では、
血清フェリチン125 ng/mL以上を、
より良い代謝状態を目指すための
一つの目安として考えることがあります。

これは、

  • 下回るとすぐ病気
  • 全員に共通する絶対基準

という意味ではありません。

そうではなく、

  • ミトコンドリアでのATP産生
  • 筋肉の働き
  • 神経の働き
  • 日常の不調

まで含めて考えたときの、
より良い状態を目指すための指標です。

つまり、

「基準値内」と「体にとって十分」は、同じではないことがある

ということです。

採血で確認したい項目

肩こりが強く、鉄不足が疑われる場合は、
必要に応じて採血で確認します。

主にみるのは、

  • ヘモグロビン(Hb)
  • フェリチン
  • 血清鉄
  • TIBC
  • TSAT

です。

大切なのは、
フェリチンだけで決めつけないことです。

数値だけではなく、

  • 症状
  • 年齢
  • 性別
  • 月経の有無
  • 食事内容
  • 生活背景

まで合わせて、
総合的に判断することが重要です。

鉄不足が疑われる方は、まず「ヘム鉄」を意識してください

鉄不足が気になる方には、
ヘム鉄の摂取をおすすめします。

ヘム鉄は、植物由来の鉄(非ヘム鉄)に比べて
吸収率が高く
比較的胃腸の不快感などの副作用が少ないのが特徴です。

鉄を補いたいときは、

  • サプリならヘム鉄を選ぶ
  • 食事なら肉をしっかり摂る

これが基本になります。

とくに、

  • 豚レバー
  • 牛レバー
  • 豚肉
  • 牛肉
  • まいわし

などは、鉄を補いたい方におすすめの食品です。

日本鉄バイオサイエンス学会
『鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂(第2版)』では、
食品中の鉄の吸収率の目安として、以下のような値が示されています。

  • 豚レバー・牛レバー:13%
  • まいわし:11%
  • ほうれん草:1%

つまり、
「鉄を摂ろう」と思って野菜だけを頑張るより、
肉や魚などのヘム鉄を意識したほうが、効率よく補いやすいということです。

フェリチンが低い方や、
慢性的な肩こり・疲労感・だるさがある方では、
食事内容を見直すだけでも差が出ることがあります。

ただし、肩こりの原因は鉄不足だけではありません

ここは誤解のないようにお伝えしたいところです。

肩こり=鉄不足ではありません。

肩こりの原因には、

  • 猫背
  • 巻き肩
  • ストレートネック
  • 眼精疲労
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 頚椎症
  • 自律神経の乱れ

などもあります。

ただし、
長引くひどい肩こりの中に、鉄不足が隠れていることがある。

これは、診療の中で見逃してはいけない視点だと考えています。

まとめ

湿布やマッサージで改善しない肩こりは、
首や肩の筋肉だけの問題とは限りません。

とくに、

  • 中学生のひどい肩こり
  • 30〜40代女性の慢性的な強い肩こり

では、
鉄不足が背景にあることがあります。

鉄は、
貧血のためだけでなく、
ミトコンドリアでATPを作るためにも必要な栄養素です。

そのため、鉄不足があると、

  • 疲れやすい
  • だるい
  • 集中できない
  • 筋肉が張る
  • 肩こりが強い

といった不調につながることがあります。

オーソモレキュラー栄養医学では、
血清フェリチン125 ng/mL以上
optimal range の一つの目安として考えることがあります。

また、鉄不足が疑われる場合は、
サプリならヘム鉄を選ぶ
食事ならレバーや豚肉、牛肉などを意識して摂ることも大切です。

「検査では異常なしと言われた」
「でも、つらい」
そんな方は、
鉄不足という視点で見直してみる価値があります。

※本記事は、オーソモレキュラー栄養医学における考え方を含めた解説です。
※実際の診療では、症状と採血結果をあわせて総合的に判断します。
※鉄の摂取は、自己判断で過剰に行わず、必要に応じて医療機関で相談しながら進めることが大切です。

中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会