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膝の外側が痛い…「膝窩筋腱炎」かもしれません

膝の外側が痛い…「膝窩筋腱炎」かもしれません

注射で“診断と治療”を一回で進められることがあります

「膝の外側が痛い」
この症状、まず“ランナー膝(腸脛靭帯炎)”を疑われがちです。

でも実際は、原因が別のことも多い。
その代表が 膝窩筋腱炎(しっかきんけんえん) です。

ポイントはこれ👇
局所麻酔+ステロイドの注射で、痛みがその場でスッと引く人がいる。
そしてこの注射、診断と治療を同時にできます。

まず結論:こんな痛みは膝窩筋腱炎が怪しい

当てはまるほど可能性が上がります。

  • 痛い場所が 膝の外側〜外後ろ(外側の角)
  • 押すと 一点がズキッ とする
  • 階段の下り で痛い
  • 下り坂(ラン・登山)で悪化
  • 切り返し/方向転換/減速 でズキッ

「外側の奥」「下り」「切り返し」
この3点が揃うと、かなり怪しいです。

膝を横から見た図:膝窩筋腱を押すと痛みが走るのが特徴


膝窩筋腱炎って何

膝窩筋(しっかきん)は膝の後ろの深いところにある小さな筋肉です。

役割はシンプルで、

  • 膝のねじれ(回旋)をコントロール
  • 下り坂や減速の“ブレーキ役”
  • 膝の安定化

この“ブレーキ役”が酷使されると、
膝の外後ろ に痛みが出ます。

膝を後ろから見た図:膝窩筋は膝の裏から斜めに走る唯一の筋肉。膝の屈伸時に脛の骨がねじれる動きを巧みに制御する。


「膝の外側が痛い」原因は1つじゃない

似た症状を出す代表を並べます。

腸脛靭帯炎(ランナー膝)

  • 痛みは外側の やや前 が多い
  • 走る距離が増えると出やすい

外側半月板損傷

  • ひっかかる、捻ると痛い
  • 腫れが出ることも
  • ロッキング(伸びない)は要注意

外側側副靭帯(LCL)損傷

  • ぐらつき、不安定感
  • 捻った受傷がきっかけ

大腿二頭筋腱炎(腓骨頭のあたり)

  • 外側の下(膝の外側下方)が痛い
  • 押すと腓骨頭周囲が強く痛い

膝窩筋腱炎の目印は「外後ろの一点」+「下りで悪化」です。

病院での評価:最短ルートは「当てにいく」

外側痛は“決め打ち”で長引きやすい。
だから当院では、原因を絞ることを重視します。

  • 痛みの位置:外前?外後ろ?腓骨頭?
  • 動作で誘発:下り?切り返し?しゃがみ?
  • 半月板・靭帯のチェックで除外
  • 必要に応じて エコー/MRI

「注射で一発」—診断と治療を同時にできる

膝窩筋腱炎が疑わしい場合、強い武器があります。

👉 局所麻酔+少量ステロイドの注射

なぜ“診断”になるの?

注射の直後に痛みがハッキリ軽くなるなら、
痛みの発生源がそこ(膝窩筋腱周囲)である可能性が高い

逆に、ほとんど変わらなければ
他の原因(腸脛靭帯、半月板、靭帯など)を疑うべきです。

つまりこれは、
痛い場所を当てにいく注射です。

なぜ“治療”になるの?

  • ステロイド:炎症を抑える
  • 局所麻酔:痛みの回路を一時的に切る

結果、効く人は
その場でスッと痛みが落ちます。

ここで痛みが落ちると、
かばい動作が止まり、リハビリに入れる。
長引く外側痛のループを断ち切れます。

※ただし「全員が必ず一回で治る」と断定はできません。効かなければMRI撮影などを行って鑑別をやり直します。

重要:注射で痛みが落ちた後が“勝負”

ここで油断すると再発します。

痛みが落ちても、

  • 下り坂
  • 階段下り
  • 切り返し
  • 斜めの路面(バンク)

を同じように続けると、また戻ります。

だから当院では、注射だけで終わらせず
再発しない体の使い方までセットで整えます。

再発予防のコツ

膝だけを見ても再発します。
狙うのはここ👇

  • 股関節(中殿筋)で骨盤を安定
  • 体幹のブレを減らす
  • 足部のクセ(過回内など)を修正
  • 下り動作のフォームを整える

痛みが落ちた状態でこれをやると、回復が早いです。

FAQ(よくある質問)

Q1. 膝の外側が痛い=ランナー膝ですか?

違うことも多いです。膝窩筋腱炎、半月板、靭帯、大腿二頭筋腱など原因は複数。痛い場所と動作で絞れます。

Q2. 注射は怖いです。癖になりますか?

適切な量・回数・部位で行えば、診断と治療を同時に進められる有効な選択肢です。

Q3. どれくらいで治りますか?

注射1回で痛みが取れてしまうことも多いです。ポイントは早く原因を絞ること。我慢して続けるほど長引きやすいです。

まとめ

  • 膝窩筋腱炎は 大腿骨外側の一点の圧痛+下りで悪化 が目印
  • 局麻+ステロイド注射で“診断と治療”を同時に進められる
  • 仕上げはリハビリ。股関節〜足部まで整えると再発しにくい
中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会