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両肩が痛い…それって本当に五十肩?リウマチ性多発筋痛症(PMR)の見分け方

両肩が痛い…それって本当に五十肩?リウマチ性多発筋痛症(PMR)の見分け方

「左右どちらの肩も痛い」
「腕が上がらない」
「着替えや髪を洗う動作がつらい…」

そんなとき、まず思い浮かぶのが 五十肩(肩関節周囲炎) かもしれません。
でも、両肩の痛みは五十肩だけで説明できないことがあります。

特に、
朝がいちばんつらい(こわばる・動き出しが痛い)
だるさや微熱がある
ここ数日〜数週間で急に悪化した
——このような場合は、リウマチ性多発筋痛症(PMR:Polymyalgia Rheumatica) という病気が関係していることがあります。

この記事では、
「五十肩」と「PMR」の見分け方
受診の目安
放置してはいけないサイン
を、できるだけ分かりやすく解説します。


まず確認:両肩の痛みチェックリスト(五十肩?それともPMR?)

次のうち 3つ以上 当てはまる方は、五十肩だけでなくPMR(リウマチ性多発筋痛症) も候補に入ります。

  • 50歳以上
  • ✅ 肩が痛いのは 片側ではなく両側(または短期間で両側に)
  • 朝がいちばんつらい/起きた直後に動けない
  • 朝のこわばりが30分以上 続く
  • ✅ 肩関節というより 首〜肩甲骨周り/上腕の付け根 が痛い感じ
  • 寝返り・起き上がり・着替え がつらい
  • だるさ・微熱・食欲低下 など全身症状がある
  • 太ももの付け根(股関節まわり) も痛い/立ち上がりがつらい
  • ✅ 湿布・注射・リハビリで 改善が乏しい

五十肩とPMRの違い

五十肩(肩関節周囲炎)っぽいのは?

  • 片側から始まることが多い(両側でも左右差が出やすい)
  • 肩の関節そのものが痛い感じ
  • 腕を上げる動きで鋭く痛む
  • 人に動かされても痛い/硬い(可動域制限がはっきり)
  • 経過は週〜月単位で変化(痛い→固まる→改善)

PMR(リウマチ性多発筋痛症)っぽいのは?

  • 両肩が同時に痛い、または短期間で両側に広がる
  • 肩よりも 首〜肩甲骨周り/上腕の付け根がつらい
  • 朝が最悪で、動いているうちに少し楽になる
  • 朝のこわばりが長い(目安:30分以上)
  • だるさ・微熱・食欲低下など全身症状が出ることがある
  • 肩だけでなく 股関節まわり(太ももの付け根)も痛いことがある

リウマチ性多発筋痛症(PMR)とは

PMRは、主に50歳以上に起こり、
肩〜首・上腕の付け根、股関節周囲に強い痛みとこわばりが出る病気です。

「肩が壊れた」というより、炎症により“動き出しがつらい”状態になるイメージです。
適切に診断できれば 治療で改善しやすい のが特徴です。


PMRで大事:放置注意の合併症(巨細胞性動脈炎)

PMRと関連して、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎) が合併することがあります。
頻度は高くありませんが、見逃すと視力に影響することもあるため注意が必要です。

すぐ受診したい“危険サイン”

  • ⚠️ 新しく出てきた強い頭痛(特にこめかみ)
  • ⚠️ こめかみの痛み/頭皮が触れない
  • ⚠️ 噛むとあごがだるい・痛い
  • ⚠️ 見えにくい/視力低下/視野が欠ける

PMRの検査と診断

PMRは、症状の特徴+血液検査を軸に診断します。
肩のレントゲンでは異常は検出できません。

血液検査でよく見る項目

  • CRP/赤沈(ESR):炎症の程度(PMRでは高いことが多い)
  • 必要に応じて:関節リウマチなど他疾患の鑑別

画像検査はいつ必要?

  • 五十肩や腱板障害など「肩そのもの」の病気が混ざっていないか確認
  • エコー、MRI が補助的に役立つことがあります

PMRの治療

PMRの基本治療は ステロイド(飲み薬) です。
合うと、数日で痛み・こわばりが軽くなるケースもあります。

治療の流れ(イメージ)

  • 症状を落ち着かせる
  • その後、症状と血液検査を見ながら少しずつ減量
  • 再燃しやすいので 自己判断で中断しない のが大切

治療期間の目安

個人差はありますが、治療は 1〜2年程度 が目安になることがあります。

副作用対策もセットで

ステロイドは有効な一方で、副作用対策も重要です。
医師は以下も合わせて管理します。

  • 骨のケア(骨粗しょう症予防)
  • 血糖・血圧などのチェック
  • 最小限の量で維持する工夫

よくある質問(FAQ)

Q1. PMRは自然に治りますか?

自然に軽快する人もいますが、症状が強いと生活に支障が出ます。
適切な治療で改善しやすい病気なので、我慢しすぎないことが大切です。

Q2. 五十肩とPMRは同時に起こりますか?

起こりえます。
PMRの痛みに加えて五十肩や腱板障害が混ざると、回復が分かりにくくなることがあります。

Q3. 血液検査が正常ならPMRではない?

多くはCRP/赤沈が上がりますが、例外もあります。
症状の特徴が強い場合は、医師が総合判断します。

Q4. ステロイドは「怖い」けど大丈夫?

副作用はゼロではありません。しかし、PMRを治療せず放置する方がもっと危険ですので医師の指示のもとしっかり治療しましょう。

Q5. どれくらいで良くなりますか?

合えば、痛み・こわばりは数日で軽くなることがあります。
ただし、減量の過程でぶり返すこともあるため、焦らず調整します。
自己判断の中断は再燃の原因になります。

Q6. 受診は何科がいい?

まずは整形外科や内科で相談し、必要に応じてリウマチ膠原病内科(リウマチ科)で評価します。

受診の目安

  • 両肩の痛みが 2週間以上 続く
  • 朝がつらい/こわばりが強い(動き出せない)
  • だるさ・微熱など 全身症状 がある
  • 五十肩として治療しているが 改善が乏しい

まとめ

  • 両肩の痛みは、五十肩だけでなく PMR のことがあります。
  • 50歳以上+朝のこわばり(30分以上)+だるさ があるなら要チェック。
  • PMRは、適切に診断できれば 治療で改善しやすい 病気です。

最後に

両肩の痛みが続くときは、「五十肩」と決めつけず、原因を整理することが回復への近道です。気になる症状があれば早めにご相談ください。

中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会