ブログ

Blog

足裏のしびれは「脛骨神経障害」かも?

足裏のしびれは「脛骨神経障害」かも?

足根管症候群を中心に、解剖と“しびれの場所”でわかる鑑別

「足裏がジンジンする」
「土踏まずがピリピリする」
「指の裏がしびれる」

足裏のしびれは、腰が原因のこともありますが、足首〜足裏を走る神経、特に脛骨神経(けいこつしんけい)のトラブルで起こることがあります。
代表が 足根管症候群 です。

※踵の痛み(足底腱膜炎やBaxter症候群)は鑑別として重要ですが、今回は“足裏のしびれ(脛骨神経障害)”がテーマのため詳述は控えます。


まず結論:しびれの「場所」が大事

  • 土踏まず〜足指の裏がしびれる
    → 足根管症候群(脛骨神経障害)を疑う
  • 踵だけが痛い
    → 足底腱膜炎などを鑑別(今回は詳述しません)
  • 踵の痛みが長引く/しつこい
    → Baxter症候群も鑑別(既存記事へ:こちらの記事

解剖:脛骨神経は足根管の手前で3つに分かれる

脛骨神経は、ふくらはぎを下って足首へ向かい、
内くるぶしの後ろを通ります。

そして重要なのが、

脛骨神経は「足根管」というトンネルに入る手前で、次の3つに分枝します。

  • 内側足底神経
  • 外側足底神経
  • 踵骨神経

この「どの枝の領域がしびれているか」で、原因の推定がしやすくなります。


それぞれの神経が担当する“しびれの領域”

※個人差はありますが、臨床的な目安として非常に役立ちます。

① 内側足底神経(うちがわ)

  • 足裏の内側(親指側)
  • 土踏まずの内側〜母趾・第2趾・第3趾寄りの足底
    → 「親指側がしびれる」「土踏まずの内側がピリピリ」がヒント

② 外側足底神経(そとがわ)

  • 足裏の外側(小指側)
  • 小趾側の足底〜外側寄りの土踏まず
    → 「小指側がしびれる」「足裏の外側がジンジン」がヒント

③ 踵骨神経(かかと)

  • 踵(かかと)周囲の感覚
    → 「踵のしびれ」がある場合、この枝が関与している可能性

鑑別の重要ポイント:足根管症候群では踵がしびれないことがある

足根管症候群では、基本的に踵のしびれが“出ない”です。
これは鑑別としてとても重要です。

なぜ?

踵骨神経は足根管の手前で分岐するため、
足根管での圧迫が中心の場合、

  • 内側足底神経/外側足底神経の領域(=土踏まず〜指)がつらい
  • しかし踵骨神経(=踵)は巻き込まれない

「踵は無事で、土踏まず〜指がしびれる」足根管症候群が起こり得ます。

踵も含めてしびれる場合は足底管症候群以外の原因を疑います。


足根管症候群(脛骨神経障害)でよくある症状

  • 足裏が しびれる/ピリピリする/焼けるように痛い
  • 立つ・歩くと悪化、休むと少し楽
  • 夜や入浴後にジンジンしやすい
  • 内くるぶしの後ろを軽く叩くと足裏に響く(ティネル徴候)

原因(よくあるきっかけ)

  • 扁平足(アーチ低下)
  • 立ち仕事・歩行量増加
  • 靴の影響(硬い/きつい)
  • 足首の捻挫後(腫れ・瘢痕)
  • ガングリオン、静脈瘤などの圧迫

注意:腰が原因でも足裏はしびれます

足裏のしびれでも、腰(椎間板ヘルニア/脊柱管狭窄症)が原因のことがあります。

  • お尻〜太もも〜すねまで広がる
  • 腰の動きで悪化する
    などがある場合は、腰由来の評価も必要です。

病院で行う検査

  • 診察(しびれの範囲=どの神経領域か、誘発テスト)
  • レントゲン(骨の変形、アーチ評価など)
  • 超音波(エコー):神経の腫れ、ガングリオン等の有無
  • MRI(足首/腰が疑わしければ腰椎)

治療:まずは保存療法+必要なら注射治療

①負担を減らす

  • 立ち時間・歩行量の調整
  • 靴の見直し(クッション性、きつさ)

②インソール(足底板)

  • 扁平足などがある場合、神経への負担軽減に有効なことがあります

③薬(内服・外用)

  • 炎症や痛みを抑えます

④リハビリ

  • ふくらはぎの柔軟性
  • 足部アライメント
  • 歩き方の改善

⑤神経のハイドロリリース(必要な方に)

足根管症候群など、神経が過敏になっているケースでは
超音波(エコー)で神経を確認しながら神経周囲に薬液を注入する
神経のハイドロリリースを検討することがあります。

狙い

  • 神経の滑走(動き)をよくする
  • 周囲の癒着・圧迫による刺激を和らげる
  • 神経の過敏を落ち着かせる

※適応は診察で判断します。


受診の目安(放置しないで)

  • しびれが 2週間以上 続く/悪化
  • 歩行がつらい、夜眠れない
  • しびれの範囲が広がる
  • 足指が動かしにくい、筋力低下がある
  • 腰痛やお尻〜足の痛みもある

まとめ

  • 脛骨神経は足根管の手前で
    内側足底神経/外側足底神経/踵骨神経に分かれる
  • それぞれ支配領域が違うため、しびれの場所が鑑別の手がかりになる
  • 足根管症候群では、踵がしびれないこともある(踵骨神経が手前で分岐するため)

患者さんへのメッセージ

足裏のしびれは、「そのうち治るかな」と我慢してしまいがちですが、神経の刺激が続くと回復に時間がかかることがあります。
一方で、足根管症候群などは、原因(圧迫や負担)を見極めて対策することで改善が期待できる病気です。

「土踏まず〜足指の裏がしびれる」「歩くと悪化する」「踵はしびれない気がする」など、気になる症状が続く場合は、早めにご相談ください。

中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会