肩鎖関節脱臼とは?—転倒・スポーツで「肩の先が出っ張る」「鎖骨の端が痛い」方へ
保存療法で治る?手術が必要?治療の流れと復帰の目安をわかりやすく解説
転倒して肩を強く打った後から、肩の先が痛い。鎖骨の端が盛り上がって見える。腕を上げると痛い。
このような症状の代表的な原因が 肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう) です。
肩鎖関節脱臼は見た目の変化が目立つこともあり、不安になりやすいケガですが、多くは保存療法(手術以外)で日常生活に復帰可能です。
一方で、ズレが大きい場合やスポーツ・仕事の要求度が高い場合は、手術を検討するケースもあります。
この記事では、肩鎖関節脱臼の症状、重症度、治療の流れ、復帰の目安をまとめます。
肩鎖関節脱臼とは?
肩鎖関節は、鎖骨(さこつ)と肩甲骨の一部(肩峰:けんぽう)がつながる、肩の外側にある小さな関節です。
ここを支えている靱帯(肩鎖靱帯・烏口鎖骨靱帯など)が損傷し、鎖骨が上にずれてしまう状態が肩鎖関節脱臼です。
よくある受傷機転
- 転倒して肩を直接打つ(自転車、階段、スキーなど)
- ラグビー、サッカー、柔道などのコンタクトスポーツ
- 交通事故
主な症状
- 肩の先(鎖骨の端)が痛い、押すと痛い
- 腕を上げる・背中に回すと痛い
- 肩の外側が盛り上がって見える、段差がある
- 腫れ・皮下出血
- 重い物を持つ、押す動作で痛い
※しびれや握力低下などがある場合は、神経の問題や合併損傷も考えるため早めの受診が必要です。
肩鎖関節脱臼とは?
肩鎖関節は、鎖骨(さこつ)と肩甲骨の一部(肩峰:けんぽう)がつながる、肩の外側にある小さな関節です。
ここを支えている靱帯(肩鎖靱帯・烏口鎖骨靱帯など)が損傷し、鎖骨が上にずれてしまう状態が肩鎖関節脱臼です。
よくある受傷機転
- 転倒して肩を直接打つ(自転車、階段、スキーなど)
- ラグビー、サッカー、柔道などのコンタクトスポーツ
- 交通事故
主な症状
- 肩の先(鎖骨の端)が痛い、押すと痛い
- 腕を上げる・背中に回すと痛い
- 肩の外側が盛り上がって見える、段差がある
- 腫れ・皮下出血
- 重い物を持つ、押す動作で痛い
※しびれや握力低下などがある場合は、神経の問題や合併損傷も考えるため早めの受診が必要です。
重症度で治療が変わります重要
肩鎖関節脱臼は「ズレの程度」で治療方針が変わります。一般的には Rockwood 分類(Ⅰ〜Ⅵ)が用いられ、ざっくり言うと次のイメージです。
- Ⅰ・Ⅱ(軽症):靱帯の部分損傷〜軽度のズレ
- Ⅲ(中等症):ズレがはっきり(治療方針は患者さんの状況で分かれやすい)
- Ⅳ〜Ⅵ(重症):ズレが大きい/方向の異常が強い → 手術検討になることが多い
同じ分類でも、年齢・利き腕・仕事(頭上作業の多さ)・競技レベル・見た目の希望で最適解は変わります。
※手術を選ぶかどうかは「分類だけ」で決まりません。ご本人の生活に合うかが最重要です。

Rockwood type Ⅰ
靭帯は正常 → 保存的治療
——————————————–

Rockwood typeⅡ 肩鎖関節靭帯の断裂 → 保存的治療
——————————————–

Rockwood type Ⅲ
肩鎖関節靭帯断裂+烏口肩峰靭帯断裂
鎖骨1本分の太さ以下のズレ
→保存的治療、あるいは手術適応
——————————————–

Rockwood type Ⅴ
肩鎖関節靭帯断裂+烏口肩峰靭帯断裂
鎖骨1本分の太さ以上のズレ
→手術適応
検査は何をする?
- レントゲン:骨折の有無、鎖骨のズレの程度を評価
- 必要に応じて 超音波/MRI:靱帯損傷や合併損傷(腱板など)を確認
「肩鎖関節脱臼だけ」ではなく、鎖骨遠位端骨折や腱板損傷などが隠れていることもあるため、痛みが強い・長引く場合は追加評価が大切です。
治療の基本:多くは保存療法(手術なし)
肩鎖関節脱臼は、軽症〜中等症の多くが保存療法で改善します。
1)受傷直後:痛みを落ち着かせる
- 三角巾や装具で固定(痛み軽減と保護)
- 冷却(10〜15分、凍傷に注意)
- 消炎鎮痛薬
- 無理に動かさない(痛みの悪化を防ぐ)
2)痛みが落ち着いたら:リハビリで機能回復
- 可動域(動く範囲)を少しずつ戻す
- 肩甲帯(肩甲骨まわり)・腱板の筋力をつける
- 最終的に日常動作→スポーツ動作へ段階的に戻す
よくある誤解:「出っ張りが残る=治っていない?」
肩鎖関節脱臼は、見た目の段差が多少残っても、痛みが取れて肩の機能が戻れば日常生活は問題ないケースが多いです。
大事なのは「形を完全に元通り」にすることだけではなく、痛みと機能(使えるか)です。
手術を検討するのはどんなとき?
次のような場合は手術が選択肢になります。
- Ⅳ以上の重症(ズレの方向・程度が大きい)
- Ⅲでも、
- 競技レベルが高い(コンタクト・投擲・頭上動作が重要)
- 仕事で肩の耐久性が強く求められる
- 保存療法で痛みや機能障害が長く残る
- 見た目の希望が強い
など、生活背景により総合判断します。
※手術を選ぶかどうかは「分類だけ」で決まりません。ご本人の生活に合うかが最重要です。
回復・復帰の目安
個人差や重症度で前後しますが、目安は次の通りです。
- 日常生活(軽作業):数日〜2週間程度で楽になることが多い
- 痛みが強くない範囲の運動:2〜4週
- ジョギングなど衝撃の少ない運動:3〜6週
- コンタクトスポーツ・重い筋トレ:6〜12週(状態次第)
「痛みがあるのに我慢して再開」すると長引きやすいので、復帰は段階的に行います。
自宅での注意点(悪化を防ぐコツ)
- 受傷直後は固定と冷却を優先
- 痛い間は「押す・引く・上げる・支える」を控える
- 背中に手を回す動作、腕立て、ベンチプレスは特に負担が大きい
- 痛みが落ち着いてから、リハビリで「肩甲骨の動き」と「腱板」を整える
すぐ受診したほうがよいサイン
- 皮膚が突っ張るほどの強い変形
- 強い腫れや激痛で動かせない
- しびれ、感覚異常、力が入らない
- 痛みが改善せず日常生活に支障が大きい
- 2〜3週たっても改善が乏しい
よくある質問(FAQ)
Q. 肩の出っ張りは治りますか?
A. 軽症では目立たなくなることが多いですが、ズレが大きい場合は多少残ることがあります。痛みと機能が改善すれば生活上困らないことも多いです。
Q. 放置しても大丈夫?
A. 軽症でも、痛みが強い時期に無理に使うと長引くことがあります。まず評価を受け、固定やリハビリの方針を立てることが大切です。
Q. 仕事はいつから復帰できますか?
A. デスクワークは比較的早期に可能ですが、荷物運搬や頭上作業は回復に合わせて段階的に。仕事内容で目安が変わるため、診察で調整します。
まとめ
肩鎖関節脱臼は、転倒やスポーツで起こりやすく、肩の外側の痛みや「出っ張り」が特徴です。
治療は重症度で変わりますが、多くは保存療法で改善し、生活に復帰できます。
一方で、ズレが大きい場合や競技・仕事の要求度が高い場合は、手術も含めて最適な方法を検討します。
肩の先の痛みや変形が気になる方は、早めにご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

