リハビリ室にエコー(超音波)を導入しました!
エコーがあるリハビリ室で働きたい理学療法士の皆さんへ
「しびれが続く」「動かすと痛い」「ストレッチで悪化する」
こうした症状の背景に、末梢神経の滑走障害(nerve gliding dysfunction)が関与していることがあります。
当院ではリハビリ室にエコー(超音波)を導入し、末梢神経の評価と介入の精度を上げる取り組みを進めています。
ここでは、エコーを使うことで滑走障害のリハビリがどう変わるか、そして「エコーのあるリハ室で成長したい」と考える理学療法士の方へ、当院の考え方をお伝えします。
末梢神経の滑走障害とは?
末梢神経は、関節運動や筋収縮に合わせて周囲組織の中を滑りながら適応しています。
ところが、炎症・瘢痕・過負荷・姿勢や動作の偏りなどをきっかけに、神経が周囲組織と“引っかかる”ようになると、滑走が阻害され、
- しびれ、灼熱感、電撃痛
- 特定の肢位での症状増悪
- 筋力低下や巧緻動作の低下
- 「筋・腱の痛みっぽいが、何か違う」不定愁訴
といった形で表面化します。
なぜエコーが“滑走障害リハビリ”に効くのか
1)「どこで引っかかっているか」を仮説ではなく観察に近づける
徒手評価と神経学的所見だけでも介入はできます。
ただ、実際には似た症状でも原因はさまざまで、
- 筋・腱由来の痛み
- 関節由来の痛み
- 神経の滑走障害
- 神経根由来(頚椎/腰椎)
- 二重障害(double crush)
などが混在します。
エコーがあると、末梢神経そのものや周辺(筋・腱・滑膜・瘢痕・浮腫など)を見ながら、「狙うべきポイント」を絞りやすくなります。
2)“神経モビライゼーション”の負荷設定が上手くなる
滑走障害では、神経モビライゼーション(gliding / sliding)を使う場面が多い一方、
やり方次第で症状を増悪させることもあります。
エコーによって、状態(腫れ・周辺組織・滑走の雰囲気)を踏まえながら、
- tension寄りにしない
- まずは滑走(sliding)中心
- 負荷量・回数・可動域を個別に調整
- 症状再燃時は即座に戦略変更
といった“安全な強度設計”がしやすくなります。
3)「末梢で起きていること」と「中枢・根の関与」を整理できる
末梢神経の所見が目立っても、実は頚椎や腰椎の要因が大きいことがあります。
逆に、根の問題が軽く、末梢での滑走障害が主体のこともあります。
エコーは万能ではありませんが、末梢の状況を押さえることで、
どの層(中枢〜末梢)を優先して介入するかの臨床推論が整理されます。
どんなケースで活きる?(例)
- 手根管症候群・尺骨神経障害・肘部管症候群などの神経障害に伴う滑走問題
- 前腕〜手指のしびれや巧緻動作低下
- 足根管症候群、腓骨神経周囲の違和感など
- 「筋膜リリースやストレッチで良くならない」しびれ・痛み
※診断や治療方針は医師の診察と合わせて総合判断します。
エコーがあるリハビリ室で働きたい理学療法士の皆さんへ
エコーは“かっこいい機器”ではなく、適切に原因にアプローチし結果を出すための道具です。
そして、末梢神経の滑走障害のような「見立てが難しい領域」ほど、学びの伸びしろが大きい分野でもあります。
当院が大切にしているのは、次の3つです。
① 評価 → 仮説 → 介入 → 再評価を速く回す
主観と経験に頼りすぎず、エコーを含めた情報で仮説の精度を上げます。
② 医師・PTが同じ言語で話せる環境を作る
エコーがあることで、病態理解や治療方針の共有がしやすくなり、
チーム医療の質が上がります。
見学・応募をご検討の方へ
「末梢神経の滑走障害を含め、痛みやしびれの評価・介入を深めたい」
「エコーを臨床推論に組み込めるPTになりたい」
そんな方には、きっと面白い環境になると思います。
まずは見学だけでも歓迎です。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

