踵(かかと)が痛い…足底腱膜炎だけじゃない?Baxter神経障害とは
「足底腱膜炎と言われたけど治りにくい」
「踵の内側がズキズキ/ビリッと痛い」
そんな踵の痛みは、Baxter(バクスター)神経障害が関係していることがあります。
Baxter神経障害は、踵の近くを通る下踵骨神経(=外側足底神経の第1枝)が圧迫されて起こる“神経の痛み”です。
こんな踵の痛みは要チェック
- 何週間〜何か月も踵が痛い/再発を繰り返す
- 痛みが焼けるよう・刺すように感じる
- 痛む場所が「踵の前内側(典型的な足底腱膜炎)」だけでなく
踵の内側〜土踏まず寄りにもある - 押して痛いポイントが、腱膜付着部だけでなく
踵の内側の深いところにもある - 足底腱膜炎の治療をしても、スッキリ改善しない
※Baxter神経障害は、足底腱膜炎と症状が似ており、合併していることもあると言われています。
Baxter神経はどこで“挟まる”?
Baxter神経(下踵骨神経)は、踵の骨の近く〜足底を走ります。
その通り道で、筋肉や靭帯、足のアライメント(扁平足傾向など)、踵周囲の変化の影響で圧迫(絞扼)されると踵の痛みが続くことがあります。
整形外科での診断
1)問診・診察
- どこが一番痛いか(圧痛点)
- どんな痛みか(神経痛っぽいか)
- ふくらはぎ(アキレス腱)の硬さ、足の形(回内など)
- しびれ・筋力低下がないか
2)超音波(エコー)が最も重要
足底腱膜の状態を評価(足底腱膜厚が4mm以上なら足底腱膜炎を疑う)したり、必要に応じて足底神経にリリース注射/ブロックをして診断と治療を行います。
3)MRIは補助的に行う
Baxter神経障害では、MRIで小趾外転筋(ADM)の脱神経所見が手がかりになることがあります。
早期は浮腫、慢性では脂肪変性(萎縮)として見えます。
治療(基本は保存療法)
① ハイドロリリース注射
- エコーガイド下、神経のハイドロリリース注射局所注射 診断的価値が高く、治療効果もあります。
② 負荷の調整
- 歩きすぎ/立ちっぱなしの見直し
- 痛い動作を一時的に減らす
③ インソール
- 踵の衝撃をやわらげる
- 土踏まず(アーチ)を支える
④ ストレッチ
- ふくらはぎ(アキレス腱)
- 足底(足底腱膜)
よくある質問(FAQ)
Q1. 足底腱膜炎とBaxter神経障害は同時に起こりますか?
A. はい、合併することがあり、症状が似ているため見分けが難しい場合があります。
Q2. MRIは必須ですか?
A. 必須ではありません。ただ、Baxter神経障害を疑うときは、小趾外転筋(ADM)の脱神経所見がヒントになります。足裏の一部の筋の脂肪化がポイントです。
Q3. どの診療科に行けばいい?
A. まずは整形外科です。足底腱膜炎・神経障害・疲労骨折などを含めて総合的な評価が必要ですので、エコー、MRIなど設備の整った整形外科への受診をおすすめします。
予約・相談のご案内
踵の痛みが長引く方、足底腱膜炎の治療で改善しない方は、原因が複数重なっていることがあります。
早めの評価で治療方針が立てやすくなりますので、お気軽にご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

