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足の裏(足ゆびのつけ根)が腫れて痛い…それは「足底滑液包炎」かもしれません

足の裏(足ゆびのつけ根)が腫れて痛い…それは「足底滑液包炎」かもしれません

こんな症状はありませんか?

  • 歩くと、足の裏(足ゆびのつけ根)がズキッと痛む
  • 指のつけ根がポコッと腫れている・押すと痛い
  • 靴を履くと、指のつけ根に当たって痛い
  • つま先立ち・ジャンプ・ダッシュで痛みが強くなる

このような症状がある場合、
足底滑液包炎(そくていかつえきほうえん)」の可能性があります。

母趾(親指)だけでなく、2〜5趾も含めてどの指にも起こりうる状態です。


足底滑液包炎ってどんな病気?

足ゆびのつけ根(足趾MTP関節)の足底側には、
「滑液包(かつえきほう)」という小さなクッションの袋があります。

  • 骨と皮膚
  • 腱・靱帯と皮膚

のあいだで、摩擦や圧迫から組織を守る役割をしています。

しかし、

  • 長時間の立ち仕事・歩行
  • 足に合わない靴
  • 外反母趾・扁平足・開張足 など

で前足部(足ゆびのつけ根)に体重が集中すると、
この滑液包がこすれたり圧迫されたりして炎症を起こします。

その結果、

  • 局所が腫れる
  • 押したとき・歩いたときに痛い

という状態が「足底滑液包炎」です。


主な症状(チェックリスト)

当てはまるものが多いほど、足底滑液包炎の可能性が高くなります。

  • 足ゆびのつけ根(1〜5趾いずれか)の足底側がピンポイントで痛い
  • 押さえるとズーンと響くような痛みがある
  • 靴を履くと、その部分だけ当たって痛い
  • 少し腫れてふくらんでいる/熱っぽい
  • 痛む場所が、いつも同じところ

一方で、

  • 足全体が赤くパンパンに腫れている
  • 夜も眠れないほどの激痛
  • 発熱やだるさを伴う

といった場合は、痛風発作や感染性の関節炎など、別の病気の可能性もあります。
その際は早めの受診が必要です。


なぜ起こるの?(原因)

1.長時間の立ち仕事・歩行

  • 立ちっぱなしの仕事
  • 1日中歩き回る仕事
  • ウォーキング・ランニングを急に増やした

前足部に同じ負荷が繰り返しかかることで、滑液包が炎症を起こしやすくなります。

2.足に合わない靴

  • 先の細い靴(パンプスなど)
  • ヒールの高い靴
  • 底の硬い革靴・安全靴 など

このような靴は、足ゆびのつけ根に圧が集中しやすいのが特徴です。

3.足の形・骨配列の問題

  • 外反母趾
  • 扁平足
  • 開張足(横アーチが崩れて前足部がベタっと広がる)
  • 第2趾が長い(モートン型足)

これらがあると、特定の指のつけ根の滑液包に負担が集中しやすくなります。


整形外科ではどんな検査をする?

当院では、まず問診・診察で

  • 「どの指のつけ根が痛いか?」
  • 腫れ・熱感・圧痛の有無
  • 外反母趾・扁平足などの有無
  • 立ち方・歩き方(足のつき方)

を確認します。

必要に応じて、

  • レントゲン検査
    → 骨折、変形性関節症、モートン病、中足骨頭の障害がないか確認
  • 超音波(エコー)検査
    → 滑液包の腫れや周囲の炎症の状態をチェック

などを組み合わせて、他の病気との区別をします。


治療① 「負担を減らす」ことが最優先

まずは、痛みのある部分を休ませることが何より大切です。

  • 長時間の立ち仕事・歩行をできるだけ控える
  • つま先立ち・ジャンプ・ダッシュなどは控える
  • 痛みが強い日は、こまめに休憩を取る

「少し痛いけど、我慢して歩き続ける」と炎症が長引きやすくなります。


治療② 靴とインソールの見直し

靴選びは治療の一部です。

  • クッション性のあるスニーカーなどを選ぶ
  • 足幅・サイズが合っている靴を選ぶ
    (きつすぎず、ゆるすぎない)
  • ヒールの高い靴・先の細い靴はできるだけ控える

必要に応じて、

  • オーダーメイド/既製の足底板(インソール)
  • 前足部の荷重を分散するパッド(メタタルザルパッド)

などで、痛む滑液包への負担を減らす調整をしていきます。


治療③ お薬(内服薬・外用薬)

  • 炎症や痛みを抑える痛み止めの内服薬
  • 湿布や塗り薬などの外用薬

を、症状や他の持病に合わせて処方します。


治療④ 注射療法(必要な方のみ)

痛みが強い・長引いている場合には、

  • 局所麻酔薬
  • ステロイド薬

滑液包の中に注射する方法もあります。

  • 糖尿病などの持病
  • お仕事の内容
  • 症状の強さ・期間

などを総合的に考え、医師が必要と判断した方に限定して行う治療です。


よくなるまでの目安

個人差はありますが、おおよそ

  • 軽症:数日〜数週間
  • 炎症が強い/長期間続いていた:数週間〜数か月

くらいを目安に考えていただくとよいです。

痛みが少し良くなった時に、いきなり元どおりの生活に戻すと再発しやすいため、
医師と相談しながら徐々に負荷を増やしていきます。


自分でできるセルフケア・予防

  • クッション性があり、足に合った靴を選ぶ
  • ヒールの高い靴・先の細い靴は「長時間履きっぱなし」にしない
  • 体重コントロールを意識して、前足部の負担を減らす
  • 仕事や運動で足をよく使う日は、こまめに休憩する
  • 痛みが出始めたら早めに対処し、長引くときは整形外科に相談する

こんなときは、早めに受診を

  • 足ゆびのつけ根の腫れ・痛みが1週間以上続く
  • 痛みがだんだん強くなっている
  • 足全体が赤く腫れてきた
  • 発熱や全身のだるさを伴う
  • 痛風や糖尿病など、他の病気も気になる

足底滑液包炎だけでなく、
痛風発作・感染性関節炎・モートン病・中足骨頭部の障害など、
別の病気が隠れていることもあります。


まとめ|足ゆびのつけ根の「小さな痛み」も放置しないで

足ゆびのつけ根の痛みは、
「靴が当たっているだけ」「年のせい」と我慢されがちです。

しかし、毎日体重がかかる場所だからこそ、
痛みをかばった歩き方が続くと、膝や股関節、腰にも負担が広がることがあります。

  • 足の裏(足ゆびのつけ根)の痛みが続いている
  • 靴を変えても良くならない
  • どの科に行けばいいか迷っている

という方は、早めに整形外科にご相談ください。

中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会