足首の捻挫後の長引く痛み 「足根洞症候群」とは
「くるぶしの前あたりが痛い」
「捻挫してからずっと違和感がある」
そんな症状が続いていませんか?
その原因の一つに足根洞症候群(そっこんどうしょうこうぐん)があります。
足根洞症候群とは
足根洞症候群は、距骨と踵骨の間にある“足根洞”という空間の炎症や線維化によって痛みが出る病気です。
多くは足首の捻挫のあとに起こり、足の外側のくぼみ部分が痛くなります。
長引くと、歩くときのバランスが崩れることもあります。

主な原因
- 足首の外反捻挫の繰り返し
- 扁平足(回内足)によるストレス
- 距骨下関節の不安定性
- 慢性的な滑膜炎や線維化
これらの要因で足根洞内の靭帯や脂肪組織に炎症が起き、慢性化していきます。
症状
- くるぶしの前下方にピンポイントの痛み
- 押すと痛い(圧痛)
- 歩く・立つ・坂道で痛みが出る
- 足首が「グラグラする」ような不安定感
特に「捻挫してからずっと治らない痛み」は要注意です。
検査・診断
診察では痛みの部位と関節の動きを確認します。
- MRI:足根洞の炎症や滑膜肥厚を確認
- X線:骨の変形やアライメントを評価
- 超音波検査:足関節のぐらつきを評価
超音波ガイド下で局所麻酔を注射して痛みが軽減すれば確定診断となる。
MRI検査で他の疾患(腓骨筋腱炎など)との除外も重要。
治療法
1. 装具療法・安静
足首を安定させるため、足底板(インソール)やサポーターを使用します。
扁平足の方ではアーチを支えるだけでも症状が軽くなります。
2. ハイドロリリース(超音波ガイド下治療)
癒着した組織に対して、生理食塩水や局所麻酔薬を注入して足根洞内部の神経の滑走を改善します。
超音波で見ながら行うため、安全で効果的です。
線維化(内部が癒着)した足根洞を“リセット”するように痛みを軽減します。
3. 簡易動注治療
足根洞内のもやもや血管といわれる異常な新生血管を減少させ、疼痛を緩和させる簡易動注治療を併用することもあります。
4. リハビリ
理学療法士による腓骨筋トレーニングやバランス訓練を行います。
距骨下関節を安定させ、再発を防ぎます。
痛みが落ち着いた後も、再発防止のためのリハビリ継続が重要です。
手術が必要な場合
保存的治療で改善しない場合には、足根洞の掻爬(滑膜切除)を検討します。
ただし、多くのケースは手術をせずに改善します。
当院での治療
中村整形外科皮フ科では、
- ハイドロリリース
- 簡易動注治療
- リハビリテーション
を組み合わせて、痛みの原因にアプローチします。
「捻挫後の痛みが続く」「足の外側がズキッと痛む」方は、早めにご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

