太ももの外側が痛い・しびれる?外側大腿皮神経障害とは|ハイドロリリースで改善
太ももの外側に「ピリピリ」「ジンジン」「焼けるような痛み」を感じる場合、外側大腿皮神経障害(がいそくだいたいひしんけいしょうがい)の可能性があります。
この神経は腰から太ももの外側にかけて皮膚の感覚をつかさどっており、圧迫や摩擦によって障害されることがあります。
外側大腿皮神経障害の原因
外側大腿皮神経は、骨盤の前側にある「上前腸骨棘(ASIS)」の外側を通り、太ももの外側の皮膚へ伸びています。
この部位で圧迫されると、知覚異常や痛みを引き起こします。

主な原因
- ベルトやズボン、ガードルなどの締め付け
- 妊娠や肥満による骨盤周囲の圧迫
- 長時間の立位・歩行・運転
- 手術や外傷後の癒着
- 腰椎疾患や骨盤の変形
外側大腿皮神経障害の症状
- 太ももの外側がピリピリ、ジンジンと痛む
- 感覚が鈍い・しびれる
- 触れるとヒリヒリ痛む
- 立っていると悪化し、座ると軽くなる
※筋力低下は伴いません(運動神経ではなく感覚神経の障害です)。
診断方法
医師が上前腸骨棘の外側部を押して痛みや電撃様のしびれが出るかを確認します。
また、腰椎疾患などとの鑑別のために、必要に応じてMRIや神経伝導検査を行います。
治療法
🔹 ハイドロリリース(神経周囲への注射)
エコー(超音波)で神経を確認しながら、生理食塩水や局所麻酔薬を注入して神経周囲の癒着をはがす治療です。
神経の滑走(すべり)を改善し、痛みやしびれの緩和が期待できます。
多くの患者さんで1回の施術後に症状軽快がみられます。
🔹 リハビリテーション
神経への負担を減らすために、以下のリハビリを行います。
- 骨盤周囲・股関節の柔軟性改善
- 体幹・殿筋群のストレッチ
- 神経滑走運動
再発予防には、姿勢の改善や衣類・ベルトの見直しも大切です。
当院での治療方針
当院では、超音波ガイド下でのハイドロリリース注射と理学療法士による徒手療法を組み合わせた治療を行っています。
外側大腿皮神経障害によるしびれや痛みの早期改善と再発予防を目指します。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会

