肩甲骨の内側が痛い…首の神経が原因の場合も

「肩甲骨の内側がズキズキ痛む」「肩や腕のしびれを伴う」——こんな症状でお悩みではありませんか?
多くの方が「肩こり」「筋肉痛」と思いがちですが、頸椎(首の骨)から出ている神経根の圧迫・炎症が原因になっていることもあります。
第5頸椎神経とは?
首の骨(頸椎)は7つあり、その間から腕や肩、背中に向かう神経が出ています。
特に第5頸椎神経(C5)は、首から肩甲骨の内側・肩・腕にかけて感覚や運動を司っているため、ここが圧迫・炎症を起こすと次のような症状が現れることがあります。
- 肩甲骨内側の鋭い痛み
- 肩から腕へのしびれやだるさ
- 首を後ろに反らしたときに痛みが強くなる
- 力が入りにくい、物を落としやすい
加齢や姿勢不良、椎間板の変性だけでなく、首の横にある「斜角筋(しゃかくきん)」という筋肉の緊張や、そのレベルでの神経根の炎症が原因になることもあります。

頸椎神経根ブロック注射が有効です
保存療法(内服薬・安静・リハビリ)で改善しない場合、頸椎神経根ブロック注射が著効することがあります。
この治療は、圧迫されて炎症を起こしている神経根の周囲に局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、炎症と痛みを和らげます。
特徴
- 短時間に行える
- 痛みの原因部位を直接狙えるため効果が高い
- 早ければ翌日から痛みが軽くなることが多い
- 薬の全身副作用が少ない
当院では、頸椎神経根ブロックを外来診察で超音波(エコー)を用いて安全かつ迅速に行っています。
超音波で神経や血管の位置を確認しながら注射するため、より正確で安心な治療が可能です。

根本改善には姿勢・筋肉へのアプローチも大切です
痛みの背景に斜角筋の過緊張や、そのレベルでの神経根炎症がある場合、根本的な改善には筋肉へのアプローチが重要です。
- 斜角筋の緊張を和らげるリハビリ(ストレッチ・姿勢指導・呼吸法など)
- 超音波ガイド下での斜角筋内への注射(生理食塩水などを注入して神経の圧迫を緩める「ハイドロリリース」など)
こうした治療により、神経根への圧迫や炎症を軽減し、痛みの再発予防にもつながります。
早めの診断・治療が大切です
肩甲骨の内側の痛みは「肩こり」や「筋肉痛」と思い込まれがちですが、実は神経根症が隠れていることがあります。
症状が長引く・しびれや力の入りにくさがある場合は、整形外科での診察や画像検査(MRIなど)を受けることが重要です。
まとめ
- 肩甲骨内側の痛みの原因に頸椎神経根症(C5)がある
- 神経根症は斜角筋レベルでの炎症が関与することもある
- 保存療法で改善しない場合、頸椎神経根ブロック注射が著効することがある
- 当院では、超音波ガイド下で安全かつ迅速に神経根ブロックを行い、斜角筋の緊張に対するリハビリやハイドロリリースにも対応しています
首・肩・腕の症状は放置せず、早めに専門医にご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会