子どものかかとが痛い…それはシーバー病かも?

どんな病気?
シーバー病(セーバー病/踵骨骨端症)は、成長期に多いかかとのスポーツ障害です。
アキレス腱や足底腱膜の引っぱりや着地の衝撃が繰り返されることで、かかとに炎症が起こります。
青:かかとの骨の成長軟骨。

症状の特徴
- 走るとかかとが痛い
- 運動後に痛みが強くなる
- 押すと痛い
- 痛みのためつま先歩きになる
好発年齢
- 10歳前後の小学4~6年生
- 男の子に多い
- サッカー、バスケ、陸上など走る・跳ぶ競技で発症しやすい
成長期に起こりやすい理由
小学生の時期は、骨の成長スピードが筋肉の成長より速いのが特徴です。
筋肉や腱の柔軟性が追いつかず、ふくらはぎが硬くなりやすくなります。
その結果、アキレス腱がかかとを強く引っぱり、まだ柔らかい踵骨の骨端線(成長軟骨)に過大な負担がかかります。
これがシーバー病の原因となります。
自然に治る理由
シーバー病は成長期特有の病気です。
中学生になると骨端線が閉鎖(成長軟骨が骨に置き換わる)して骨が完成し、アキレス腱の牽引や衝撃に耐えられるようになります。
そのため、多くは成長とともに自然に症状が消えていきます。
当院での対応
シーバー病は自然に治る病気ですが、治癒までに数か月~1年と時間がかかることも多いです。
そのため当院では次のサポートを行っています。
- リハビリテーション
ふくらはぎの柔軟性を高め、負担の少ない動きを指導します。 - インソール(足底板)の作成
かかとへの衝撃をやわらげ、症状の軽快と再発予防をめざします。
「ただ待つだけ」ではなく、積極的なケアで早期回復をサポートしています。
ご家庭でできるケア
- 運動量を減らす(痛みが強ければ一時休止)
- 運動後の アイシング(10〜15分)
- クッション性のある靴、ヒールカップの使用
- ふくらはぎの ストレッチ習慣
予後
- 多くは 数か月〜1年で自然に治る
- 成長とともに骨端線が閉鎖すれば改善
- ただし 無理をすると長引く・再発する
- 「日常生活で痛みなし → ジョギング → ダッシュ → 競技復帰」と段階的に復帰するのが安全
まとめ
- 子どものかかと痛の代表は シーバー病
- 成長期は「骨の成長>筋力の発達」で骨端線に負担がかかる
- 中学生になると自然に治るが、治癒まで時間がかかることもある
- 当院では リハビリとインソール作成でサポートし、早期回復と再発予防を行っています
👉 「走ると痛い」「つま先歩き」が見られたら、早めに当院へご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会