足の親指の付け根が痛い…それ、バニオン(外反母趾)かもしれません

「歩くと足の親指の付け根が痛い」「靴に当たって赤く腫れる」
そんな症状に心当たりがある方、それは“バニオン”と呼ばれる状態かもしれません。
この記事では、整形外科専門医の立場から「バニオン(外反母趾)」について、原因・症状・治療法をわかりやすく解説します。
バニオン(外反母趾)とは?
バニオン(bunion)は、医学的には「外反母趾(がいはんぼし)」と呼ばれ、足の親指(母趾)が小指側へ曲がっていき、付け根(中足趾節関節)が内側に突出してしまう状態です。
この突出部分が「バニオン」と呼ばれ、靴に当たって炎症を起こし、痛みや赤み、腫れを伴うことがあります。
主な原因
バニオンの原因は複数ありますが、主に次のような要因が関係しています。
- ハイヒールや先の細い靴による足への圧迫
- 扁平足や開張足などの足のアーチの崩れ
- 遺伝的要因(家族に外反母趾の人が多い)
- 女性に多い(関節が柔らかく、靴の影響を受けやすい)
よくある症状
- 足の親指の付け根(内側)が痛む、腫れる、赤くなる
- 靴を履くと擦れて痛む
- 親指が小指側に傾いている(見た目でもわかることが多い)
- タコ(胼胝)や魚の目ができやすくなる
症状が進行すると、日常生活にも支障が出ることがあります。
整形外科での診断と検査
整形外科では、視診・触診に加え、レントゲン撮影で変形の程度を確認します。
外反母趾の角度(外反母趾角)が何度あるかで、軽度・中等度・重度に分類されます。
治療法
① 保存療法(まずはこちらから)
- 靴の見直し:幅広・クッション性の高い靴に変更
- 足底板(インソール)の使用
- 足のストレッチ・筋力トレーニング
- 装具療法(外反母趾サポーター)
特に初期の段階であれば、保存療法で症状を大きく改善できることもあります。
② 手術療法(重度の場合)
痛みが強く、保存療法でも日常生活に支障をきたす場合は手術が選択されることもあります。
骨を切って親指の向きを整える骨切り術などが一般的です。
こんな症状があれば整形外科へ
- 親指の付け根がズキズキ痛む
- 靴が当たって歩きにくい
- 見た目に明らかな変形がある
- 市販のサポーターなどで改善しない
早期に整形外科を受診すれば、進行を防ぐ治療が可能です。
まとめ
足の親指の付け根の痛み=バニオン(外反母趾)かも?
違和感を放っておくと、どんどん変形や痛みが進んでしまうこともあります。
気になる方は、お早めに整形外科専門医にご相談ください。
当院ではレントゲン評価、保存療法、装具指導、手術相談まで幅広く対応しています。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会