ブログ

Blog

手足のしびれ…「末梢神経の障害」について詳しく解説

手足のしびれ…「末梢神経の障害」について詳しく解説

手足のしびれやピリピリ感は、神経が傷ついているサインかもしれません。整形外科専門医が、末梢神経障害の原因・症状・検査・治療までわかりやすく解説します。

こんな症状ありませんか?

  • 手足がジンジン・ピリピリする
  • ボタンが留めにくい、コップを落とす
  • 歩くと足の裏の感覚が鈍い
  • 手首や肘をトントン叩くと、指先がビリッとする

これらは「末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)」のサインかもしれません。

神経は「電線」、しびれは「ショート」のようなもの

私たちの体には、脳と背骨(中枢神経)から全身に向けて細い「電線」のような末梢神経が伸びています。
この神経が傷つくと、電気の流れが悪くなり、手足にしびれや痛み、力が入りにくいといった症状が起きるのです。

神経が傷つく場所は2つ

障害の種類イメージ症状の特徴回復スピード
軸索(じくさく)
=神経の“本線”
銅線信号が届かず、筋力低下・感覚まひが強く出るゆっくり(1日1mm)
髄鞘(ずいしょう)
=絶縁カバー
ビニールテープピリピリ感やしびれが中心数週間~数か月

よくある原因

  • 糖尿病:血糖が高い状態が続くと神経が傷つきます
  • 手根管症候群:手首の神経が圧迫されて親指〜中指にしびれ
  • ビタミンB12不足:加齢や胃の病気で起こりやすい
  • 首や腰のヘルニア:神経の出口が圧迫される
  • アルコール・薬の副作用 など

整形外科での検査と診断

  1. 問診・触診
     いつから・どこが・どんなふうに?を詳しくうかがいます
  2. 簡単なテスト
     指先の感覚や反応を見る検査を行います
  3. 神経伝導検査
     電気の通り具合を数値で確認し、どこが悪いかを調べます
  4. 超音波・MRI検査
     神経の通り道で“圧迫”や“むくみ”がないかを調べます
  5. 血液検査
     糖尿病・ビタミン不足・甲状腺機能なども確認

治療は「原因に応じて」

原因のケア

  • 糖尿病 → 内科と連携し血糖コントロール
  • 手根管症候群 → 注射や手術で神経の通り道を広げます

お薬

  • ビタミンB12製剤(メコバラミン)
  • 神経の痛みを和らげる薬(プレガバリンなど)

リハビリ

  • 温熱療法やストレッチ
  • 神経と周囲の組織が“こすれない”ように動かす練習(神経スライディング)

神経はこうやって回復します

壊れた部分を掃除する時期(~2週間)
 炎症や腫れがある期間です

つなぎ直す時期(数週間~数か月)
 神経の軸索が伸び、カバー(髄鞘)も修復されてきます

感覚と動きを再教育する時期(半年~2年
 脳と筋肉が“新しい神経”に慣れてきて、回復していきます

神経の回復は2年くらいかかるといわれています。

「しびれ」は我慢せず、早めに相談を

しびれや感覚まひは、放置すると筋肉の萎縮や痛みの慢性化を招くことがあります。
「いつか治るかな…」と思わず、お早めにご相談ください。

中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会