足首を捻挫してから足の甲が痛い

「足首をひねって捻挫した後、足の甲まで痛い…」
「数週間たっても痛みや腫れがひかない…」
そんな方は、「二分靭帯損傷(にぶんじんたいそんしょう)」というケガが隠れている可能性があります。
一般的にはあまり知られていない靭帯の損傷ですが、実は捻挫の治りが悪い原因のひとつとして注目されています。
この記事では、「二分靭帯損傷とはなにか?」「どんなときに疑うべきか?」「どんな治療をするのか?」について、できるだけわかりやすくご説明します。
「足関節ねんざ」とは?
スポーツや日常生活の中で、足を「グネッ」とひねってしまうことはよくあります。これがいわゆる「足関節ねんざ(足首の捻挫)」です。
多くの場合、足首の外側にある「前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)」という靭帯が伸びたり、切れたりして痛みや腫れが出ます。
軽いものであれば数日~1週間程度で回復しますが、長引く場合には他のケガが隠れていることもあります。
足の甲が痛い?それ、二分靭帯のケガかもしれません
足関節をひねった後、足の甲(とくに外側の部分)に痛みが続く場合、それは「二分靭帯の損傷」が関係している可能性があります。
■ 二分靭帯(にぶんじんたい)とは?
足首のすぐ先、足の甲の外側にあるV字型の靭帯です。
「距舟靭帯(きょしゅうじんたい)」と「踵舟靭帯(しょうしゅうじんたい)」が合わさった構造で、足の安定性を支えています。
この靭帯が捻挫と同時に傷つくと、足首よりも少し前の「足の甲の外側」がズキズキと痛むようになります。

■二分靭帯損傷の特徴的な症状
以下のような症状がある方は、整形外科で一度詳しい検査を受けることをおすすめします。
- 足首の捻挫後、足の甲(外側)に腫れや痛みがある
- 歩くと痛くて足をかばってしまう
- 捻挫から2〜3週間たっても改善しない
- レントゲンでは異常なしと言われたけど、まだ痛い
- 足首を内側にひねるとズキッとする
■どんな検査でわかるの?
レントゲン検査では写らないこともありますが、超音波(エコー)検査やMRI検査で二分靭帯の損傷を確認できます。
また、まれに靭帯が骨ごと剥がれる「剥離骨折」がある場合は、CT検査が有効です。
■治療はどうするの?
二分靭帯損傷の多くは保存療法(手術をしない治療)で回復します。
治療内容:
- 安静と固定(必要に応じてサポーターやギプス)
- 冷却・消炎鎮痛剤の使用
- 専門的なリハビリテーション(関節の動きを回復し、再発を防ぐ)
症状が強い場合や剥離骨折がある場合は、手術が必要になることもあります。
■放っておくとどうなる?
「捻挫は放っておけば治る」と思われがちですが、適切な治療をしないと慢性的な痛みや足首のぐらつきが残ることもあります。
特に、スポーツをしている方や、長時間歩く仕事をしている方は、しっかり治すことが大切です。
まとめ
足関節ねんざ後に足の甲が痛む場合、「二分靭帯損傷」が隠れていることがあります。
一般の方にはなじみがない靭帯ですが、放っておくと長引く痛みや運動制限の原因になります。
「ただの捻挫」と自己判断せず、痛みが長引くときは整形外科を受診しましょう。
当院では、必要に応じてエコー・MRIなどの画像検査や、リハビリスタッフと連携した治療を行っています。
当院では、捻挫後の難治性の足の痛みにも対応しています。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会