【整形外科医監修】ストレートネックとは?原因・症状・治療・予防エクササイズまで解説

スマホやパソコンの長時間使用で増える「ストレートネック」。首こり・頭痛・手のしびれなどの症状のほか、早期の椎間板変性にも要注意!整形外科医が診断・治療・セルフチェック方法を解説します。
ストレートネックとは?
ストレートネックとは、本来前方にゆるやかにカーブしているはずの頸椎(首の骨)が、真っすぐに近い状態になってしまう状態を指します。この変化により、頭の重さをうまく分散できず、首・肩・背中に大きな負荷がかかるようになります。
最大の問題点 ― “首の老化現象が早期に出現”
2-1. わずか数センチの重心ズレが大きな負担に
頭部の重心が3cm前方に移動するだけで、首の後面の筋肉・靭帯・椎間板にかかる負荷は約3倍になるとされています。
その結果、筋疲労 → 慢性炎症 → 筋緊張の悪循環が生じ、首こりや肩こりが慢性化します。

2-2. 頸椎の摩耗と変性が加速
頭を支えるために、特に下位頸椎(C5〜C7)に大きな負荷が集中し、椎間板や椎間関節が摩耗。
軟骨終板の亀裂や髄核の脱水を早期に起こし、椎間板変性や骨棘形成が若年層でも進行する原因となります。
2-3. 放置すれば神経症状へ
退行変性が進行すると、
- 神経根の圧迫 → 上肢のしびれや放散痛
- 頸髄の圧迫 → 巧緻運動障害(細かい作業が苦手になる)、歩行障害
といった不可逆的な神経障害(頸椎症性神経根症/頸髄症)に至る危険性があります。
POINT:痛みやこりの段階で早めの対策がカギです!
見逃すとどうなる?ストレートネックの代表的症状
症状の段階 | 代表的な症状 |
---|---|
初期症状 | 首こり・肩こり/緊張型頭痛/巻き肩・猫背/眼精疲労 |
進行期 | 上肢のしびれ・脱力/めまい/巧緻運動障害(ボタンが留めにくい等) |
ストレートネックを疑う!セルフチェック法
● 壁立ちテスト
壁にかかと・おしり・肩甲骨をつけて立ったとき、後頭部が壁につかない場合は、ストレートネックの可能性があります。
● スマホ角度チェック
スマホを操作している際、首が20度以上前に傾いていると、頸椎への負荷が急増します。鏡などでチェックしてみましょう。
ストレートネックの予防エクササイズ&生活習慣
1. チンイン(顎引き)エクササイズ
首の自然なカーブを取り戻すための簡単な運動です。
- 方法:背筋を伸ばし、顎を軽く引いて後頭部を壁へ押し付けるように意識します。
- 目安:1回10秒 × 10セット/日
2. デスクワーク3つの鉄則
- モニターの上端を目線のやや下に
- 肘は90度に曲げ、椅子の背もたれは深く使う
- 45分に1回は立ち上がってストレッチ
3. スマホ操作のコツ
- スマホを顔の高さまで持ち上げる
- うつ伏せでのスマホ操作はNG(首の過伸展を招きます)
治療・リハビリ
症状が軽度であれば、生活指導とエクササイズで十分改善しますが、以下のような場合は整形外科での評価と治療が必要です:
- 慢性的な首こり・頭痛がある
- 上肢にしびれがある
- 姿勢改善しても症状が変わらない
● 主な治療法
- X線やMRIによる評価
- 鎮痛薬・筋弛緩薬の処方
- 理学療法士による姿勢矯正・筋バランス調整リハビリ
- 牽引療法や温熱療法などの物理療法
まとめ|“今”の姿勢が10年後の首を作ります
ストレートネックは、見た目の姿勢だけでなく、首や神経の健康を脅かす重大なリスクです。
肩こりや頭痛が続く方は、ストレートネックの可能性を一度整形外科でチェックしてみることをおすすめします。
当院では、X線評価、姿勢分析、専門的リハビリテーションによる根本的改善をサポートしています。
お気軽にご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会