ブログ

Blog

【エコーガイド下診療とは?】見えない痛みの原因を“見て治す”新しい整形外科診療

【エコーガイド下診療とは?】見えない痛みの原因を“見て治す”新しい整形外科診療

こんにちは。
中村整形外科皮フ科 院長の中村です。

今回は当院で力を入れている「エコーガイド下診療」について、患者さんにもわかりやすくご紹介したいと思います。

エコーガイド下診療とは?

「エコー」とは、超音波を使って体の中をリアルタイムで映し出す検査機器です。
レントゲンでは見えにくい筋肉や神経、靭帯、血管などの軟部組織を、その場で観察しながら処置や注射を行えるのが「エコーガイド下診療(エコーガイド下処置)」です。

これにより、原因がはっきりしない痛みやしびれに対して、より正確な診断と安全な治療が可能になります。

伏在神経障害の実例:エコーが“見つけた”原因不明の痛み

50代女性の患者さんが、「膝の内側がチクチクと痛む」「歩くと刺すような違和感がある」との訴えで来院されました。近隣の医療機関でレントゲンを撮ったものの異常はなく、「年齢的なもの」「筋肉痛」と言われて湿布と痛み止めで様子を見るように指示されていたそうです。

しかし3か月以上痛みは改善せず、当院を受診されました。

当院での診察では、太もも内側から膝の内側にかけての神経走行に一致した圧痛がありました。エコー検査を行ったところ、「ハンター管」という神経の通り道で伏在神経を押さえると痛みを再現できました。これが伏在神経障害の典型的な所見です

エコーで神経を確認しながら、神経周囲にリリース注射(神経ブロック)を行ったところ、数日後には歩行時の痛みが軽減。さらに理学療法士による神経滑走性改善のリハビリを続けたことで、3週間後には日常生活での痛みがほぼ消失しました

このように、画像に写らない神経の障害でも、エコーを用いた診療で原因を明らかにし、適切な治療につなげることができます

薬や湿布では治らない痛みに

「湿布や飲み薬で様子を見ましょう」と言われた痛みが、実は神経や腱の癒着が原因だったというケースもあります。
エコーを使えば、筋肉や神経がどう動いているかをその場で確認でき、ピンポイントで治療ができるようになります。

当院のエコー診療体制について

当院では、より多くの患者さまに迅速かつ丁寧な診療をご提供するため、エコー機器を2台体制で常備しています。
医師と理学療法士が連携しながら、エコーを活用した注射治療とリハビリを組み合わせて、治療効果の最大化を目指しています。

最後に

痛みの本当の原因が見つからないまま、長引く不調に悩まされていませんか?
当院では「見て、確かめて、正確に治す」ことを大切にしながら、患者さん一人ひとりに合った治療を行っています。

「原因がはっきりしない痛み」「長引く違和感」「注射が効かない」など、気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会