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シンスプリントと脛骨疲労骨折の違いとは?

シンスプリントと脛骨疲労骨折の違いとは?

―似て非なる「すねの痛み」の正体を解説―

「運動中や運動後にすねの内側が痛む…」
そんな症状があるとき、考えられる代表的な疾患が「シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)」と「脛骨疲労骨折」です。
どちらも主にスポーツ選手や部活動をする中高生に多い疾患ですが、治療法や注意点が異なります。今回は、この2つの違いを詳しく解説します。


シンスプリントとは?

● 正式名称は「脛骨過労性骨膜炎」

シンスプリントとは、脛骨(すねの骨)の内側にある骨膜が炎症を起こす疾患です。
繰り返すランニングやジャンプ動作によって、ふくらはぎの筋肉が脛骨を引っ張り、骨膜にストレスがかかることで発症します。

● 主な症状

  • すねの広範囲にわたる鈍痛
  • 運動の開始時に痛み、慣れてくると軽減することもある
  • 押すと広い範囲がじんわり痛む

● 原因となるスポーツ

  • 長距離走、バスケットボール、サッカー、バレーボールなど
  • 急激な運動量の増加、硬い地面での走行、不適切なシューズなども関与

脛骨疲労骨折とは?

● 骨の小さな「ひび」

疲労骨折とは、繰り返しの外力によって骨に微細なひび(亀裂)が入る状態
脛骨に起こるものは特に中距離〜長距離ランナーに多く、シンスプリントから進行して発症することもあります。

● 主な症状

  • ピンポイントな強い痛み
  • 運動のたびに悪化する
  • 押すと「ここだけが痛い」と明確に指させる
  • 進行すると安静時も痛む

● 診断には画像検査が必要

初期はX線で写らないこともありますが、MRIで診断可能です。

シンスプリントと脛骨疲労骨折の違いまとめ

項目シンスプリント脛骨疲労骨折
原因骨膜の炎症骨への微小骨折
痛みの範囲広範囲(3〜10cm)限局的(1〜2cm)
痛みの性質鈍痛・鈍い押し痛み局所の強い圧痛・運動痛
画像検査MRIで炎症が見えることありMRIで骨折線や骨髄浮腫を確認
治療安静・アイシング・ストレッチスポーツ中止・装具固定が必要なことも

当院での治療方針

当院では、問診と触診に加え、必要に応じてMRI検査を行い早期診断に努めています。
シンスプリントの場合はストレッチ・物理療法・フォーム修正指導を中心に、疲労骨折の場合はしっかりした休養と段階的なスポーツ復帰のプランを組みます。

まとめ

すねの痛みが続く場合、「シンスプリントだから大丈夫」と自己判断して無理を続けると、疲労骨折へ進行する恐れがあります。
早期の診断と適切な対応が、スポーツへの早期復帰再発予防につながります。
気になる症状があれば、ぜひ一度ご相談ください。

中村整形外科皮フ科

🏥 三重県津市半田206‑1
📞 TEL:059‑269‑5515
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中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会