咳をしすぎて胸が痛い それ、肋骨の疲労骨折かも

~風邪や咳で骨折?意外と多い整形外科の受診理由~
肋骨の疲労骨折とは?
肋骨の疲労骨折(ろっこつのひろうこっせつ)とは、強い衝撃や転倒がなくても、肋骨にヒビや骨折が生じる状態です。
特に多い原因の一つが、「咳のしすぎ」によるものです。
咳やくしゃみを繰り返すことで肋骨に負荷がかかり、ヒビが入ることがあるというのは意外に思われるかもしれませんが、整形外科ではよく見られるケースです。
なぜ咳で肋骨が折れるのか?

咳をすると、胸やお腹の筋肉(特に腹筋・肋間筋)が強く収縮し、肋骨を内側から引っ張ります。
この動きが繰り返されることで、骨に小さなヒビ=疲労骨折が生じることがあります。
特に骨がもろくなっている方や、咳が長引いている方は要注意です。
肋骨疲労骨折を起こしやすい人
- 咳が長く続く方(風邪・喘息・肺炎・肺気腫など)
- 骨粗しょう症のある方(特に閉経後の女性・高齢者)
- ステロイド薬を長期使用している方
- 過去に骨折の既往がある方
こうした方は、咳の刺激だけでも骨折するリスクが高まります。
主な症状
- 咳や深呼吸をすると胸がズキッと痛む
- 押すとピンポイントで痛い場所がある(圧痛)
- 安静にしていても胸がズキズキ痛む
- 寝返りや仰向けで痛みが悪化することも
肋骨の疲労骨折は、レントゲンに写らないこともあるため、症状から疑うことが大切です。
検査と診断
初期の骨折はレントゲン(X線)で見つけにくい場合があります。
そのため、必要に応じて以下の検査を行います:
- 数日後の再レントゲン撮影
- より詳細なCT検査
治療法
基本的には保存療法(安静・痛み止め)が中心となります。
- 胸部バンドやコルセットでの軽い固定
- 鎮痛薬や湿布で痛みのコントロール
- 咳が原因の場合は咳止め薬や原因疾患の治療
- 骨粗しょう症がある場合は骨の治療も並行して行います
治癒までの期間と注意点
- 通常は4〜6週間ほどで自然に治癒します
- 肋骨は常に動く部位なので、無理をすると治癒が遅れるリスクあり
- 激しい運動や重い物の持ち上げは、痛みが落ち着くまで避けましょう
まとめ|咳が原因で骨折することもあります
「咳をすると胸が痛い」「押すと一点がズキッと痛む」
そんな症状があれば、肋骨の疲労骨折を疑ってみてください。
特に骨粗しょう症がある方は注意が必要です。
痛みが続く場合や呼吸がつらいときは、早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。
中村整形外科皮フ科
津市で整形外科をお探しの方へ
当院では、肋骨疲労骨折の診断・治療や骨粗しょう症の検査も行っております。
ご不安な方はお気軽にご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会