ブログ

Blog

【疲労骨折が増加中】中高生アスリートに多い骨折とその予防法とは?

◆ 最近増えている「学生の疲労骨折」

新学年を迎え、中学校や高校で部活動に励む学生さんが増える一方で、疲労骨折の患者さんも増加傾向にあります。
特に整形外科外来では、スポーツをがんばる学生さんが腰の痛み足の痛みを訴えて受診されるケースが目立ちます。


◆ 疲労骨折とは?

疲労骨折とは、骨に繰り返しの小さな負荷が加わることで、骨が損傷してしまう状態です。1回の大きな外力ではなく、「使いすぎ」によって生じるため、スポーツを頑張る学生に多いのが特徴です。


◆ 多く見られる部位と原因

● 腰椎分離症(腰の疲労骨折)

特に中学生・高校生の男子に多く見られます。
ジャンプや腰の回旋動作を繰り返す野球、サッカー、バスケットボールなどの競技で多発。
初期ではレントゲンに写らないこともあり、MRIでの精密検査が必要です。

● 中足骨疲労骨折(足の甲の疲労骨折)

サッカー部の学生さんに多い骨折です。長時間の走り込みや、硬いスパイク、グラウンドの硬さなどが要因になります。
痛みを我慢して運動を続けると、完全骨折に至ることも。

● 肋骨疲労骨折

気温差が激しい春先や秋口、風邪による咳込みがきっかけで肋骨が疲労骨折するケースもあります。

◆ 疲労骨折を防ぐためにできること

1. 早期発見と早期対応

「痛みがあるけど、部活を休みにくい…」
そんな学生さんが多いですが、痛みが1週間以上続くときは必ず整形外科を受診してください。初期であれば保存的治療(安静・装具)で治癒が可能です。

2. 練習メニューの見直し

急激な運動量の増加は、骨に大きな負担をかけます。特に中学・高校入学直後は要注意
指導者や保護者と連携して、段階的なトレーニング導入を心がけましょう。

3. 栄養バランスの改善

骨の修復にはカルシウム、ビタミンD、タンパク質などが欠かせません。
成長期の栄養不足が続くと、骨密度が十分に形成されず、疲労骨折のリスクが高まります。

4. 睡眠と休養の確保

運動と同じくらい大切なのが休息です。睡眠時間が短い学生ほどケガのリスクが高いという研究報告もあります。

◆ 当院の取り組み

当院では、学生スポーツ障害に力を入れた診療を行っています。
必要に応じてMRIでの精密検査を行い、早期発見と無理のない復帰プランを提供しています。
リハビリやストレッチ指導も含め、再発予防までしっかりフォローいたします。

◆ まとめ

  • 疲労骨折は「頑張る学生アスリート」に多く見られるケガです。
  • 腰椎分離症、中足骨骨折などが特に多く見られます。
  • 痛みを我慢せず、早めの整形外科受診をおすすめします。

お子様の「いつもと違う痛み」に気づいたら、ぜひお気軽にご相談ください。

中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会