【ぎっくり腰とは?】突然の腰の激痛に注意!原因・対処法・再発予防まで解説
突然、腰に激しい痛みが走る「ぎっくり腰」。医学的には急性腰痛症と呼ばれ、日常生活の中で誰にでも起こりうる疾患です。
この記事では、ぎっくり腰の原因・対処法・予防策まで、整形外科の専門的な視点でわかりやすくご紹介します。
◆ ぎっくり腰とは?急性腰痛症の正体
ぎっくり腰は、ある日突然に起こる強い腰痛のことで、以下のような場面で発症することが多くあります。
- 重い荷物を持ち上げようとしたとき
- 靴下を履こうと前かがみになったとき
- 咳やくしゃみをした拍子に腰に痛みが走ったとき
このような動作をきっかけに、椎間板や椎間関節、筋膜、靭帯などの軟部組織に急な負担がかかり、損傷や炎症が起こることで強い腰痛が出現します。
◆ ぎっくり腰の主な原因は「姿勢」と「動作による負荷」
ぎっくり腰の多くは、不意な動作や悪い姿勢によって引き起こされます。
特に、前かがみや中腰姿勢では腰椎にかかる負荷が非常に大きくなります。
下の図は、スウェーデンの整形外科医 Nachemson ALらが行った研究で、姿勢ごとの椎間板内圧(腰への負荷)を比較したものです。

- 立位:100(基準)
- 立位前傾で荷物をもつ:220
このように、前かがみの姿勢で荷物を持つと腰にかなりの負担がかかるになることがわかります。
◆ ぎっくり腰になってしまったら?対処法を段階別に解説
【急性期(発症後1~3日)】
- 強い痛みがある間は安静が基本です(コルセットも有効です)。
- 無理な動作を避け、痛みが強ければ湿布や内服薬(NSAIDs)で炎症しっかりと抑えます。
- 痛みが特に強い場合は、座薬や局所注射も有効です。
【回復期(3日目以降)】
- 痛みが落ち着いてきたら、安静にしすぎず徐々に動かすことが大切です。
- 寝たきりを続けると、筋力低下や回復遅延の原因になります。
- 当院では、徒手療法や電気治療、温熱療法などを組み合わせたリハビリを実施しています。
◆ 繰り返さないために!ぎっくり腰の再発予防
ぎっくり腰は再発率が高い疾患です。以下のような予防策を日常生活に取り入れることが重要です。
- 重い物は膝を曲げて持ち上げる(腰ではなく足の力で)
- 長時間の中腰姿勢を避ける
- 腹筋・背筋など体幹の筋肉を鍛える
- 体重管理と日常的な運動習慣
◆ 腰を守る!正しい物の持ち上げ方
❌ NG:腰を曲げたまま持ち上げる
この動作は、椎間板や筋肉に大きな負荷をかけてしまいます。
正しい持ち上げ方の5つのポイント
- 荷物にできるだけ近づく
- 膝と股関節を曲げてしゃがむ(腰を曲げない)
- 荷物は体の中心(お腹の前)で持つ
- 足の力で立ち上がる(腰ではなく太もも)
- 荷物を持ったまま体をひねらない(足ごと回転)
◆ ワンポイントアドバイス
- 朝一番の動作は要注意!(椎間板に水分が多く、傷みやすい時間帯です)
- コルセットの活用:不安がある方は予防的に装着を
- 無理をしないことが第一!:重い荷物は台車や周囲の人の力を借りましょう
◆ まとめ:腰痛に不安がある方は整形外科へご相談を
ぎっくり腰の多くは1〜2週間で自然軽快しますが、なかには椎間板ヘルニアや骨折が隠れている場合もあります。
当院では、必要に応じてレントゲンやMRIによる精密検査を行い、再発予防に向けたリハビリプログラムもご案内しております。
「これってぎっくり腰?」「早く治したい」など、お困りの方はお気軽にご相談ください。

執筆者中村 公一
院長 / 整形外科専門医
親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。
- 経歴
- 津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
- 保有資格
- 医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
- 所属学会
- 日本整形外科学会 / 日本関節病学会