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学校検診で「側弯症(そくわんしょう)」を指摘された方へ

学校検診で「側弯症(そくわんしょう)」を指摘された方へ

―まずは慌てず、専門医の診察を受けましょう―

春から夏にかけて、学校での健康診断が行われる時期ですね。この時期、当院にも「学校健診で側弯症(そくわんしょう)を指摘された」というご相談が増えます。

「うちの子、大丈夫でしょうか…?」
「治療が必要なの?」
そんな不安をお持ちの保護者の方に向けて、今回は思春期特発性側弯症の概要と、次に取るべき対応についてご説明します。


側弯症とは?

「側弯症」とは、背骨が左右に曲がり、ねじれも伴う状態です。特に10歳以降の思春期に発症しやすく、原因がはっきりしないものを「思春期特発性側弯症」と呼びます。

女の子に多く、初期は自覚症状がないことがほとんどです。
進行すると、見た目の変化(肩の高さの差、背中の出っ張り)が現れる場合があります。


指摘されたらどうすればいい?

まずは整形外科専門医による評価を受けることが大切です。学校健診では簡易的なチェックのみのため、詳しい評価にはレントゲン(X線)検査が必要です。


レントゲンで評価すること

  1. Cobb角(コブ角):背骨の曲がりの角度
  2. 回旋(ねじれ)の有無
  3. 骨の成熟度(成長段階)

これらをもとに、「経過観察でよいのか」「装具(コルセット)が必要か」などを判断します。


どんな場合に治療が必要?

Cobb角成長段階対応
10~20度成長中経過観察(6か月ごとにレントゲン)
20~40度成長中装具治療(進行予防)
40度以上重度・進行性手術の検討も視野に

当院でできること

当院では、以下のような対応を行っています:

  • 正確なレントゲン評価(Cobb角の測定)
  • 装具治療の適応判定と説明
  • 必要に応じて、専門病院との連携や紹介

ご家族の不安を和らげ、進行を防ぐための丁寧な説明とフォローアップを心がけています。


最後に:早期発見・早期対応がカギです

思春期特発性側弯症は、成長とともに進行することがあるため、放置しないことが大切です。
学校健診での指摘は「チャンス」でもあります。気づけた今だからこそ、適切に評価し、必要に応じて対応を行っていきまししょう。

参考文献

  1. Weinstein SL, Dolan LA, Wright JG, Dobbs MB.
    Effects of bracing in adolescents with idiopathic scoliosis.
    New England Journal of Medicine. 2013;369(16):1512–1521.
    → 成長期の思春期特発性側弯症に対する装具療法の有効性を示したランダム化比較試験(RCT)。
  2. Sanders JO, Newton PO, Browne RH, et al.
    Bracing for idiopathic scoliosis: how many patients avoid surgery?
    Journal of Bone and Joint Surgery Am. 2014;96(8):649–657.
    → Cobb角45度以上の患者に対する手術回避率や装具療法の限界を示した研究。

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中村 公一

執筆者中村 公一

院長 / 整形外科専門医

親切・思いやりの心を大切にし、整形外科の専門知識を活かして地域の皆様の健康を支えたいと考えております。お気軽にご相談ください。

経歴
津高等学校 卒業 / 富山大学薬学部 卒業 / 富山大学医学部 卒業 / 三重大学大学院医学系研究科 修了 / 三重大学附属病院 /名張市立病院 / 松阪市民病院 / 函館共愛会病院 / おおすが整形外科 / 元八事整形外科・形成外科 / ひのとり整形在宅クリニック など
保有資格
医学博士 / 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 リウマチ医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医 / 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 / 日本関節病学会 Coolief 疼痛管理用高周波システム講習プログラム 修了 / 日本医師会認定 産業医 / 身体障害者福祉法指定医 / 難病指定医
所属学会
日本整形外科学会 / 日本関節病学会